【とある神のお伽話】

 

2009年1月1日。

「神!そこでなにをしておいでです?」

びくん!

ばさばさばさ…っ


慌てた拍子にけっ飛ばし、床に積み上がっていた本が倒れる。

 

 


パァン!パァン!パァン!!

「んっはぁ… やぁ…!!
 いたぁぁぁい!いたーーーい!!」

 

叱責と悲鳴。ひたすら肉を叩く音。

机の上に、下界と通じるTVのモニター。
画面いっぱいに赤く染まったお尻が映し出されている。

 

「あーあーあー…
 ナニするんだ!もう…」

「ナニもしてませんよ、声かけただけです。
 新年早々なにをしているのですか、とお尋ねしたのですよ。
 それにしても…」

ぎろり、と青年の目が半眼になる。

「だいぶ、小さくなりましたね…
 溜まっておいでですか」

「う…」

 


****

天上界雲上市端2丁目3番地、とある神がすんでいた。

                                              

天上界には、なにかしらを管理する神が住んでいる。
神としていきて何百年の新参神から、何万年と経つ古大神。
ただし格が違うので、新参神と古大神はあまり関わりがない。

格が低い新参は別に偉くもなんともないと本神たちは思ってるが、それでも人間に比べたら崇高であることは確かである。
だから弱きもの=人間を、時には導き助けてやったり面白がって見ていたりしている。

 

そんな神たちのなかでも、異色なのがこの栖羽(すぱ)神である。

生まれて180年くらい。
両性具有といえども大体はじいさまのカタチをとるか、はたまた、武人のような厳めしい顔をする神が多い中、女のカタチをとっていることが多い。

そして彼女が司どるのは、性嗜好の中でも小さい小さい派閥に属する「Spanking(お仕置きとしてのお尻叩き)」

性嗜好の中でもアブノーマルに関わる部分だから、万人には理解されにくいのであった。


したがって、至高の存在とされる神には何百万という信者と仕え人がいるのだが。
彼女の家に住んでいるのは、たった一人の仕え人しかいない。
それが、さきほど彼女に話しかけた、手為(しゅい)。
人といっても…人ではなく、まぁ神よりは劣るが精霊の一種だ。
身の回りのことをやったり、神の手助けをする。

 

青年のカタチを取っている彼は、長い髪をひとつに束ね目の前にいる主を見降ろした。
画面(すでに平手を通り越して、道具でめちゃめちゃに尻を打たれている人間女性)を指差して訊ねる。

 

「あれ、ノーマル(正常性癖)の女性でしょ!?
 私の眼は節穴じゃありませんよ!!
 彼女に何をしたんです?」

「…別に」

どこぞの仏頂面女優の如くしらんふりで答えた彼女は、次の瞬間青年によって脇から持ち上げられていた。

「神!答えなさい!!」

「お前〜…!仕え人の分際で〜〜〜…!無礼者!!」

「お黙りなさい!わかってますね?自分がどんな姿なのか」


栖羽は、う、と返答に詰まってそっぽを向いた。

今、彼女の体は、10歳前後の人間の少女のように縮んでいるのだ。
この栖羽の性質として、「お尻を叩かれたがっているときほど、縮む」。

普段は25歳くらいの女のカタチをとっているが、キー性が強くなるほど子どもの形になり
カー性が強くなるほど、アダルティックで妙齢(30代以上)の女性のカタチになる。


「ホラホラ、身体は正直ですよ?」

なんだかエッチに聞こえる言葉をいぢわる〜く囁いて、手為は小柄な体をゆさぶった。
ちゃんと言いなさい、と催促する。
しかし彼女も負けてはいない。

「ふん!」

「あっ、ナマイキな。しかたないですね…まったく世話が焼けるんだから」

精一杯の憤然とした態度をとる主だったが。
全く意に介せず彼女を小脇に抱えると、手為は衣装の裾をめくり小さくなっているお尻をむき出しにした。

「まったく…!!」

 

ぴしゃぁん!!


「ぎゃん!!」


ぴしゃぁぁん!!


「いたぁぁぁぁい!!」

 

手を振りかぶり、最初から容赦なく勢いをつけて彼女のお尻を叩き抜く。
激しい音が鳴った。
目から星が、お尻には火が。
あっという間に真っ白なお尻は桃色に染まり、更に赤味を増していく。

慣れた様子で、手首をしならせ鋭い鞭のように平手を振らせ栖羽のお尻をさんざん虐めたおす。


「うあぁぁぁ!!」

「いたいよーーーー!!」

「しゅいーーー!やめーーー!」


「やめてほしかったら、ちゃんと質問に答えなさい」

「こ…答えるから!やめぇぇ!!」


100打くらいは一気に叩きだし、それから手為はようやく手をとめて聞いてやった。

「まったく。素直に最初から言えばいいんです。
 あぁあ〜、画面の人間女性は息絶え絶えですよ。
 ノーマル(正常性癖)な人間なんだからちゃんと手加減しないと!」

ぺし!

「神になら、手加減はいらないのか!?」

「そうですね、アンタは強いですしね
 それであの女性は何をしたんです?」

「あの女、Spankingなんて変態で気持ち悪いなんて言ったんだ!」
 
「それで?」

「だから、お仕置きしてやったんだ!
 遠隔操作の魔法で、彼氏に栖羽力(スパ力)を与えてやったんだ。天罰だね!!
 ざまぁみろ!あはははははは!!!」

「あの彼氏もノーマル(正常性癖)でしょうが!!!
 なにやってんすか!!
 ノーマルさんには手を出さないのは、愛の神との約束でしょ!
 愛の神が聞いたら怒りますよ!!
 それくらいの言葉に、いちいち反応しない!!!」


彼女が憧れ、母のように慕う愛の神を引き合いに出されて彼女はぎくりとした。

「お…怒るかなぁ?」

「怒りますよ。ノーマルさんはほっときなさい!
 貴女はアブノーマルのスパ人だけを面倒見てればいいんです!」

「そっかぁ…」

「それに、この頃はそれも面倒見てないでしょ? 
 まだP(パートナー)が見つかってないと悩む子羊たちは多いですよ?
 それに運良く作れたとしても、いろいろな要因で悩む人間は多いんです。
 そっちをまず助けてあげなさい!
 ノーマルさんなんて見てる暇ないでしょが〜〜〜!!」


べしべしべしべし!!!

お尻を更に叩かれて、栖羽は泣き声を上げた。

「わかった!わかったから!!」

 


「…神?嘘をついても無駄ですよ?」

「うそ…ついてないよ?」

「…まだ、身体が小さいままだ。本当はキー欲が消えてないのでしょう?」

「もういい!痛いからもういい〜〜!!」

「ダメですね、身体は正直なんですよ。
 このままキー欲高いうちに離すと、どんな悪戯をするかわかりませんからね。
しっかりと…満足するまで…叩いてあげますよ…!!!」

 

「やぁん…やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

                 

 

 


それからも、長時間責められ、2時間後、お尻を深紅に染めた栖羽の身体はやっと元の大きさ(25歳くらい)に戻ったのであった。


「ちゃんと、反省しましたか?」

「しました…」

 

「ほら、貴女を慕ってるスパ人もいるんですよ?」

手為は持ってきた手紙を差し出した。

「これは祈りの声です。」


◎スパ神様、ありがとうございます…!
 おかげでデートもうまくいきましたv
 彼にぺんぺんしてもらってすごい嬉しかったです。
 これからも守ってくださいね!


◎スパ神様、昨年はやっとPができました。
 俺にとっては最高の彼女です。
 ありがとうございます。
 今年もよろしくお願いします。


◎友人がたくさんできました。
 スパの趣味持ってて良かったぁ〜♪


◎やってみたかったスパオンリーサイト立ち上げることができました。
 やったーやった〜!

などなどなど。
特別な祈りや感謝の念は手紙となって、他の神からの年賀状と共に家に届いたらしい。

「おぉ…!私も捨てたものじゃないな!」

「そうですよ。こんな特殊な性癖を応援してくれる神はアンタとSM神だけくらいですからね。スパ人たちは皆、慕ってますよ…」

じんじんと痛むお尻をさすりつつ、元気が出たらしい栖羽はにっこりと笑った。
その笑みは、先ほどの幼いふくれっ面とは雲泥の差。
艶然と匂い立つような色香が漂った。


「よぉし…今年の目標はスパ人30人返済じゃ!」

「Σ(゜Д゜)すくな!」

思わず30人ぽっちかいとツッコミを入れた手為だったが、ひとまずやる気を出したらしい栖羽にほっとしたのであった。
成人女性姿の彼女はなんて頼もしいんだ!と思いながら。


「2009年、始まったばかりですしね。やる気を出すのは良いことです。…ちゃんとお供しますよ」

「おう。そなたは私の従者だからな!!しっかりついてまいれ!」

「…世話の焼ける主ですがね」

「何か言ったか!?」

「いーいーえー…」

 

2009年、スパ人たちの幸は…これから訪れるかもしれない。

多分…♪きっと…♪♪

 

                                  おしまいwww

 

 


なにはともあれ、明けましておめでとうございます。
           本年もよろしくお願いします。
           スパ人、皆兄弟。
          栖羽神様(笑)の御加護がありますように。
          良き年でありますように、お祈り申し上げます(*^▽^*)

 

はやと

2009年1月4日

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