【ももたろうこ】

 


昔、昔、おじいさんとおばあさんがおりました。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
 
すると大きな桃がどんぶらこっこどんぶらこっこと流れてきました。

おばあさんは喜び、おじいさんと食べようと桃を持って帰りました。
家に帰って、包丁で切ろうとしたとき!
桃の中から、可愛い赤ちゃんが生まれました。
それはそれは可愛い女の子です。

おじいさんとおばあさんは、その子を「ももたろう子」と名づけて大切に育てました。
 
もちろん大切だからといって、甘やかすばかりではありません。
ももたろう子が悪いことをすると、容赦なくお尻をひっぱたいて彼女を躾けました。
おかげですくすくと、ももたろう子は良い子に育ちました。


大きくなったある日のこと、悪い鬼がほうぼうの村を荒らしまわってると聞き、
正義感が強い子にそだったももたろう子は鬼退治に出かけていくことにしました。

「おじいさん、おばあさん、私鬼退治にでかけます!」

止めても無駄だとわかったので、おばあさんは黍団子をつくり、彼女にもたせました。
おじいさんは木刀と、旗をもたせてくれました。

ま、簡単に言っちゃうと。
色々ありましたが、犬と雉とサルが仲間になってくれました。
山々を抜け、海に漕ぎ出し、やっとのことで鬼が島にたどり着くことが出来ました。

 

「たのも〜ぅ!!」

ももたろう子ら一行は、勢い良く扉を蹴破りました。
中にいた鬼はびっくり仰天。
鬼…赤、青、黄、桃色それぞれの色をした髪を結わえて、ちょうど宴会をしていた鬼たち4人は色めき立ちました。

 ――生意気ね

 ――人間ふぜいが、思い知らせてやりましょうよ

 ――供は動物だけ?なめてるわね

美しいともいえる長身が、ゆらりと立ち上がり、ももたろう子の側に近づきました。

「鬼め!かくごしろ!!」

「覚悟するのはそちらのほうじゃない?お嬢ちゃん」

木刀を振りかざしていきなりなぐりかかるももたろう子。
助太刀するはずの動物たちも、その速さについていけません。
木刀が顔を一撃する!と思われた瞬間、青鬼はすっと身を引き空振りに終わったところで、ももたろう子のわき腹に蹴りをたたきこみました。

「う…」

くずれおちる、彼女の髪の毛を引っつかんで、鬼は耳元でささやきました。

「お行儀の悪いコね…お食事中に邪魔しないでちょーだい☆」

そういうと横に抱きかかえ、ももたろう子の袴を脱がし、パァン!!パァン!!と勢い良くそのお尻を叩き始めました。

「いっ たっ  あぁっ!!」


脇に抱えられては、手足をバタつかせるほかありません。
 
しかし、威力は弱まらず、その掌の攻撃になす術もなく彼女は悲鳴をあげるしかないのでした。
他の鬼たちは余興、とばかりに笑っています。
あっという間に桃色になったお尻は美しく…、流石桃から生まれただけはありますね〜。
お尻の痛さと、悔しさで、ももたろう子の目に涙が浮かんできました。

と、そのときです。

「ももたろう子っ!黍団子よ!!」

叫びながら、サル、雉、犬が助けようと走ってきました。
もちろん、他の鬼が阻止します。
全滅か…と思われた時、サルの投げた黍団子をうまくキャッチして、ももたろう子は必死に口におしこむことに成功しました。

ぴっか〜〜〜〜〜!!

力がみなぎり、どんどんと身体が熱くなっていくのを感じます。

「勇気100倍!!アン○ンマン!!違う、ももたろう子!!」

おばあさんの黍団子は日本一!

ももたろう子は勇気と力を得て、青鬼の脇にエルボーを食らわせ、力が緩んだところで抜け出すことに成功!
そのまま、渾身の力でみぞおちにパンチをし、青鬼は倒れました。

 ――!!!

色めきたつ他の鬼が襲い掛かるものの、木刀を拾い上げたももたろう子と、同じく黍団子を食べ力をつけた動物たちにはかないません。
あっという間に、蹴散らされ、倒されました。

「お許しください、ももたろう子さん。盗んだ宝はお返しします。」

拘束され、殊勝な態度になった鬼たちが降参をしました。
 
ももたろう子は勝ったのです!!

 

ももたろう子たちは金銀財宝の宝と、捕虜にした鬼たちを連れて意気揚々とおじいさんとおばあさんの待つ村へ帰ってきました。

金銀財宝は、ほうぼうの村と山分けし、サル・雉・犬は仲間のところへ帰っていきました。
鬼たちは…


「お仕置きじゃっ!!」


おじいさんとおばあさんに散々お尻を叩かれ、改心した鬼たちは仲良くなり、
畑をたがやしたり、洗濯をしたり、と一緒に住むことにし働くようになりました。
強情を張っていた鬼たちでしたが、そのうち心を開き、おじいさんやおばあさんに甘えてみたり、ホームステイを楽しんでいるようです。

ももたろう子も年上の美しい鬼たちにすっかり懐き、オシャレを楽しんだり、恋バナしたり、一緒に買い物に出かけたり…。

家族として7人仲良く暮らしているようです。


しかし、時々…

粗相や悪戯をしてはとっつかまり、お尻をならべておじいさんとおばあさんにお仕置きされる姿が見られるようになるのでした。

 


最強伝説…〜〜本当に強いのはお年寄りだった〜〜
 

 

はやと

2007年03月09日

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