マイナーネタです。

それでも良ければどうぞ(*^^*)
描いてる暇なかったので画像は拾いもの☆




【頑張れ諸泉尊奈門の段】


まだ日の光が当たるか当たらないくらいの薄暗い時。
とある早朝、息を殺してそーっと動く影があった。

足音をさせない立ち振る舞い、黒い忍装束を見れば、その者が只人ではないことがわかるだろう。

縄梯子をかけ、身軽な動作で高い城壁をするすると上っていく。

順調に見えたそれは、しかし次の瞬間何者かに投げられた小刀によって断たれた。
縄梯子の紐がぷっつりと切れ、影は落ちる。


どしーーん!

「うぁぁあ!」

地面に尻もちをつき、思わず出たすっとんきょうな声。

「そこまでだ、尊奈門」

「!?高坂さん!?」

諸泉尊奈門(もろいずみそんなもん)は先輩である、高坂陣内左衛門(こうさかじんないざえもん)を茫然と見つめた…


****

本日の舞台は、タソガレドキ城。
城主は黄昏甚兵衛(たそがれじんべえ)。 ←今回は出てこない
黄昏甚兵衛の下で働く忍が、タソガレドキ忍者だ。
 
                                              
忍軍100人の頂点に立つのが、組頭の雑渡昆奈門(ざっとこんなもん)。36歳。
忍術学園保健委員長6年の伊作に部下を助けてもらったことに恩を感じて、借りを返したことから学園から一目おかれている。

その側近となるのが山本陣内(やまもとじんない)。44歳。
昆奈門の右腕的存在だ。


そんな山本陣内を烏帽子親に持つのが、高坂陣内左衛門(24歳)。
同じく雑渡昆奈門の側近。
昆奈門には「陣左」と呼ばれる。

そして昆奈門の部下で、高坂陣内左衛門の後輩にあたるのが諸泉尊奈門。
19歳。 
まだ若く、血気盛んなお年頃w
コミックス42巻で忍術学園の土井先生に出席簿とチョークケースにやられて以来土井先生との対決にリベンジを誓っている。
                         
今回の主人公である。


****

「ど、どうして…?」

「出しぬけると思ったか?今日は土井先生との対決は無理だぞ」

!!!

ナイショにしていたことを見抜かれて、尊奈門は焦った。
なぜだ?
決闘状を送りつけ、日時を指定。
早朝ならば邪魔は入らないので確実…、と思っていたのだが…。

「な…なぜお分かりに?」

「土井先生から、【学園長の突然の思いつきによりこれから海に向かうことになったので日を改めて】という手紙を昨夜 使いの生徒が持ってきたのだ」

「高坂さんにですか?」

「組頭に、だ。
 忍術学園1年ろ組の伏木蔵くんは組頭と親しくなっているからな。
 組頭も楽しげに抱っこしたり、タソガレドキ饅頭をふるまったりしていた。
 夜遅くなってしまったので、私が忍術学園まで送り届けた。」

 「はぁ……」

土井半助と、やっと白黒決着つけようかと思っていたというのに、残念だ…。
確かに組頭は伏木蔵と仲良くなってるよな〜…とゆーか、保健委員と仲良いよな。
話を聞きながら尊奈門はぼんやりしていたが、重要なことに気付いた。

組頭に知られたということに!


「気づいたようだな?」

顔色が変わった尊奈門に、にやりとして陣内左衛門は続けた。

「お前、組頭に決闘禁止を言い渡されてたんだってな?
 無断欠勤3回も続ければなぁ〜。まぁ当然か」

「……」

「その禁を破るなんて良い度胸だな!
 どうせ早朝のうちに決着付ければ、間に合うとか思ってたんだろう?」

図星である。

コミックス42巻で土井先生に文房具で敗れてから、もう1回46巻に挑めた。これも見事敗れてしまったが。
その時は無断欠勤していたのを、見逃してもらえた。
無断欠勤になるのは、止められるからである。
何故か、組頭は学園関係者と戦うのを良しとしない節があり許可が出ないのだ。

どうしても一糸報いたかった。
その為、その後2回無断欠勤を繰り返す。
しかし、良いチャンスが訪れたと思ったのにその2回とも邪魔(主に1年は組)が入り流れてしまっていた。
負けたならいざ知らず、それが悔しかった。

今は大きな戦もないので、忙しくない。
早朝のうちに済まして戻れば、無断欠勤にもならない。
だから大丈夫と思ったのだが…。


「バカだな、そういうことじゃない。
 組頭の言いつけを破ることが問題なんだ」

陣内左衛門は呆れた口調で、しょげかえってる尊奈門にトドメの一言を刺した。
う。たしかに、以前言われたのだ。
「もう、するなよ。許すのは今回までだ」と。


「組頭はお怒りだ。お前が出ようとする所を見計らって現行犯でしょっぴいてこい、とのこと。さぁ、今すぐ行くぞ」

尊奈門は固まった。
組頭がお怒り?
忍軍100人の頂点に立ち、殿も頭があがらない。
組頭がタソガレドキ忍軍 狼隊に昔いた時から、その活躍は知られていた。
知力武力に長けているだけでなく、部下思いなところも尊敬している。
そんな尊敬し、また慕っている人が怒っているところを想像するだけで、忍びとして幾度も死線を潜り抜けてきて鍛えているはずの心が冷える。
はっきりいって、恐ろしい。

減給や昇進の遅れくらいなら甘受すればいい…と思っていたのだが、まさか…

「ど、どうしましょう!?
 破門とかイヤですよ!?クビは嫌です〜!!!」

「それは直接 組頭に言え。さぁ、行くぞ。
 それとも…縛られたいか?」

ぶんぶんぶん!!
縛られるのは真っ平なので、素直に従うことにした尊奈門だった。
もとより、先輩に逆らう気はないのだ。

そこそこ広い、タソガレドキ城。
組頭のいる部屋に行くまで、たっぷり歩かねばならない。
その間、2人は無言でいた。
無表情な陣内左衛門からは感情が読みとれないが、尊奈門の頭の中は組頭のことでいっぱいだった。

甘かった。
甘かった…。
やっぱりきちんと言うこと聞いてれば良かった…

包帯で隠してあるが、物腰は柔らかな組頭。言い方だって穏やかだ。
なのに「許すのは今回までだ」と言った時に、ちくりと殺気が感じられてびっくりしたのを思い出した。
しかし…土井半助のことになると何故か頭に血が上ってしまうのである。
忘れていた。

(バカバカ、私のバカ〜!!)

悔やんでも遅い。
逃げ出したくなる衝動に駆られながら歩いて、とうとう部屋までたどり着いてしまった。

「小頭!」

小頭と呼ばれたのは、山本陣内。
部屋からちょうど出てきたところだった。

「尊奈門…」

陣内は、そっと憐みを込めた目をして、肩をぽんと叩きそのまま行ってしまった。
まるで励ますみたいに…。
一層の嫌な予感がつのる。


「陣左です。尊奈門を連れてきました!
 入ります」

襖を開け、2人は畳敷きの部屋に入る。
普通の忍者は板の間の部屋だが、昆奈門は位が高いため特別に畳敷きの部屋を、城主から賜っているのだ。
広さはさほどではないが、調度品もほど良く収まり、なかなかに落ち着ける部屋である。
まだ室内は薄暗いが、じき 朝日を帯びて明るくなるだろう。
昆奈門は、座っていた。

「ありがとう、陣左。あぁ、そのままさがっていて良いよ。
 朝ごはん まだだろう?」

「はっ、それでは失礼します」

陣内左衛門は、そう言われると本当にすぐに部屋から出ていってしまった。
頼りになる先輩がいなくなり、組頭と2人きりに。
庇う人はいない。
尊奈門は泣きたくなった。
しかし、ここは正念場だ。謝って許してもらうのだ。                                                                               

                                   
「も、申し訳ありません、組頭!」

がば、と足元に跪いて 必死に言い募る。

「クビは!クビだけは嫌です〜!!!」

「クビ?何の話だ?」

え、違うの?

「お、お怒りということでしたので…てっきり…」

「怒ってるけど、クビにはしないから安心おし」

そ…そうなんだ…良かった…
安心…って、えええええ、やっぱり怒ってるの!?

尊奈門はまた頭がパニックになった。
そんな様子を見て、昆奈門は思わずクスリと笑う。

  バカだね…こいつは…

何せ、尊奈門がほんの小さい頃から知っているのだ。
尊奈門の父親からも何卒よろしくと頼まれ、本人には内緒だが大事に育ててきた(つもり)だ。
その尊奈門をクビにするつもりは微塵もなかったのに、当人が必死なのが何か微笑ましくておかしい。

逆らわれたことには、実はそんなに腹を立てていない。
というか、19歳という年を考えればそれくらいの気概があっても良いとさえ思う。
しかし自分の言うことを聞かないことが他の部下たちに知られれば、真似する者も出てくるかもしれないし、示しもつかない。
それはマズイ。
だから1回ビシっと躾けておかねば。

それに忠義心厚い者が尊奈門を制裁しようとするかもしれないからな…
なるべくなら部下同士の諍いはおこしたくない。

昆奈門は、笑った口元を引き締めた。

「おいで、尊奈門」

「え?」

何を…しようというのだろうか…

おずおずと組頭を見てみると、ちょいちょいと手招きをしているのが見えた。
少し距離を詰める。
するともっと、と更にいうので、尊奈門は膝と膝がつきそうなくらい側までにじり寄った。
昆奈門が耳元で囁く。

「忍術学園の先生に聞いてな。子どもの躾け方を聞いたのだ。」

ドキ。
尊奈門の心臓が跳ね上がる。

「言うことを聞かない子どもは、【お尻ぺんぺん】がいいと教えてもらったぞ」

その単語を聞いた途端、うつむいた顔がカっと熱くなるのがわかった。
だらだらと汗が噴き出てくる。
しかし顔を合わせることはできない。
嘘だ、嘘だ。

「嘘じゃない。乱太郎きり丸しんべヱも叱られたことはあるそうだ」

「ですが!私はもう大人です!!」

そこまで言われて、やっと顔をあげ抗議の声を上げる。
しかし、すぐさま
「クビの覚悟もなく、浅はかに言いつけを破るような奴は大人ではない。
物分かりの悪い子供だ。」
と厳しく言われ、尊奈門は凹んだ。
確かに、何の覚悟もなく言いつけを破っていた。
その甘さは…自覚がある。
事実であるだけに、言い返せない。

「わかったか?」

「も、申し訳ありません!!
 ですが、それは…それだけは…嫌です!
 減給でも休暇なしでもトイレ掃除でも構いません!
 それはやめてください」

昆奈門はまたクスリと笑った。

「それだけは嫌だ、ということをするのが仕置きだ。
 大丈夫なことを罰にしても罰にはならないからな」

ぐ。
またもや言い返せなかった。
イチイチ正しいのが腹が立つ。

なにか…なにか…打開策はないか…?


「ダメ☆
 今日はたっぷりと泣け」

昆奈門はもう一度耳元で囁くと、固まっている尊奈門の身体を自分の組んだ足の上に乗せた。

「くっ、くみがしら…!!」

袴越しにもわかる筋肉のついた昆奈門の足。
固い片腿のあたりがお腹に当たり、腹ばいの姿勢になっていた尊奈門の尻のがちょうど叩きやすい位置に納まる。

抵抗しようかと思って、やめる。
いや、ここは大人しく罰を受けるのだ。
逆らうと…もっと怖い。

尊奈門は両手を持て余し、ぎゅと握ると顔の前に置いた。

この時まで、実感が湧かなかった。

自分が何をされるのか。

もちろん言われたことは分かるが、とにかく実感が湧かなかったのだ。
呆けていた。
だが、呆けていられるのも、最初の1打が振り下ろされるまでだった。

びしっ!!!

袴の生地があるとはいえ衝撃を抑えることはできなかった。
「く」の字の体勢になっているせいでお尻がぴんと張り詰められ、そこを強く叩かれたのだから、思わず悲鳴が出た。

「あぁ!」

実は尊奈門。父に叱られた時は鉄拳が飛んできたが…
今までこんな風に尻を叩かれたことはなかった。
耐性がない。

「お尻ぺんぺん」なんてやわな響きからは想像もつかない威力。
鍛えてもいない弱いところを続けざまに打たれて、尊奈門は音をあげた。

「組頭!もう!もうやめてください!!!」

しかし、音をあげたからと言ってそう簡単にやめてくれたりはしない。
「ダメ☆」とまた言われ続けざまに素早く数十発叩かれ、ついには袴までずり下ろされてしまった。

しっかりと抑えつけられているせいで、逃げることはおろか振り返ってお尻の様子を見ることもできないが…
尊奈門の尻は熱をもち、叩かれた場所は桃色に染まっている。

じんじんと痛む尻のうずきに耐えかね、尊奈門はまた助けを請う。

「や、やめてください…!
 もう…無理です…!!!」

昆奈門はそれには答えず、さらに鋭さを加えて手のひらを素早く素肌に打ちつけた。
切裂くような乾いた音が室内に響き、桃色だった場所にくっきりと大きな紅葉が咲いた。
これは痛い。
尊奈門が思わず息がとまり、涙目になったほどだ。

昆奈門のなめし皮のように柔軟で丈夫な手のひらの攻撃は、さながら鞭のようだった。
それは1発だけではすまず、ますます力強くなり、襲いかかってくる。

尊奈門はひたすらその打撃に翻弄されていた。
思考する暇がない。
尻にくる猛烈な痛み。特に付け根のあたりを打たれた時は、既にうるんでいた目から2つほど涙がこぼれた。
痛い!痛い!痛い!!!

しかしそのSOSのサインに何もできず、またもや叩かれるのを待つしかない。
弱々しい悲鳴を上げるのみだ。

「も…っや…!やめ…!!」


そんな余裕のカケラもない必死の尊奈門に対し、昆奈門は冷静そのものだった。
ちゃんと左右の尻を平等に痛めつけたつもりだし(叩く順番はバラバラでも)、骨がすぐ当たる場所は避けている。
叩きすぎると麻痺して反応が鈍くなりがちだが、強弱と緩急をつけることで最後まで激痛が味わえたはずだ。

…もちろん怒ってはいないのである。
ただ、容赦はなかったw

―――うーん、そろそろかな?

尻があまりのことに小さく震えている。
多分、無意識の身体だけの反応。
紅葉は咲き乱れ過ぎて、桃色だったころが思いだせないほど深紅になっていた。
手のひらよりも熱い尻。


「反省したか?」

「ぢ…ぢまぢだ…(>皿<)」

うつむきぐったりとした尊奈門は、鼻声で答えた。
袖口は汗か涙か鼻水か濡れ、ずっと握りしめていた拳は感覚がない。
顔と尻の熱さだけをひたすら感じている。

「よし、これからはちゃんと言いつけに従えよ」

「はい!!!」

大きな声で答えたが、尊奈門は起き上がれなかった。
赦されたことへの安堵感から、全身から力が抜けてしまったのである。
昆奈門は笑った。

まったくもう…。

昆奈門は尊奈門をしばらく膝に乗せておくことに決めた。

あとで、陣左に手当てさせよう。
当分痛むだろうがな。


よしよしと撫でるとびくっとして、尊奈門は小さく「すみません」と言った。
起き上がれないことに不甲斐なさを感じ、恐れ入ってるらしい。

「気にするな。幼少のころに戻ったようだろう?」

「……」



それからしばらくし、尊奈門は動けるようになった。
顔の熱さは消えたが、尻の熱さと痛みは消えないのだが。
しかし、それは表に出せない。
ぐっとこらえて、再度頭を下げた。

「組頭、申し訳ありませんでした」

「済んだことだ。お前も朝食に行っていいぞ。
 陣左と陣内以外の者には内緒にしてるからな。そのつもりで」

手ひどい罰は受けたが、この不名誉なことが皆に知れ渡っていなくて良かった…組頭はやはり優しいのだ。
尊奈門は、感激した。

「組頭!私一生ついていきます!!!」

「定年まででいいって言ってるのに…」

昆奈門はさらりとかわしたが、どこか嬉しげだった。




****

後日。

忍務の途中で忍術学園の連中と出会い、1年は組に挑発され、またもや頭に血が上って土井先生を追いかけてしまう諸泉尊奈門がいた。

「くっくっく。バカだねぇ〜」

「ええ、バカですね!」

その行動を知った側近の山本陣内は呆れて言ったが、昆奈門は楽しげだった。

―――バカな子ほど可愛いということだろうか…
   だが、しかし…

組頭の笑みはだんだんと物騒なものに変わっていく。

その変化を見ていた、陣内は部下の未来にちょっとだけ同情した。

可哀想に☆ 次は確実に泣かされるな。

がんばれ、尊奈門!
次はもっと重いお仕置きが待っている!


今は対決に夢中になっている件の彼が、己の運命に気付くのはもうちょい後だった…




おしまいw


 

2012年2月5日

はやと

 

 

原作で描かれている組頭のセクシーさ(喉仏に鎖骨、節ばった手)にヤられてから、ずっと書きたかった話。

好きだー好きだー〜〜〜!!!
雑渡昆奈門〜♪
友だちにこの人のキーホルダーもらった!

…もしここまで読まれた方がいたら…えと
ありがとうございました!!!

それしか言えないなぁ…(いるのだろうか…ドキドキwww)

題名は諸泉尊奈門から。シャレになってるですよ☆

ざっとこんなもん(雑渡昆奈門)にしょせんこんなもんですか(笑)
尼子先生のセンスはやっぱりすごい(*^^*)

あ、設定や昆奈門の部屋とかは捏造ですので!謎が多いからなー…

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