注)五年生 → 一年生に年齢変化。はやとの妄想大爆発。

   他の作品よりも著しく、【腐】向けなので苦手な方は見ない方がよろしいかと…。

   大丈夫な方は、そのまんまスクロールを下にしていってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雷蔵  三郎  兵助  八左ヱ門小平太

 

落第忍者乱太郎番外編【昔はこんなにウブでしたの段】

 

 


タッタッタッタ…!

子どもらしい軽やかな足音が近づいてくる。
同室の友を待っていた鉢屋三郎は、気づいて嬉しそうに本を閉じた。
一緒に食堂へ行くのだ。

食堂のおばちゃんの特製Aランチ、Bランチ。
彼はきっと悩むだろう。
だから、自分が違うのを頼んで好きなものを分けてあげる。
そうすれば雷蔵はきっと喜ぶ。


「おかえり、らい――」

「三郎のばかぁぁ!!!」

ガラ、ピシャ!!
勢いよく扉が開かれ、また乱暴に閉められる。

あっけにとられて見つめると、友…不破雷蔵は涙目だった。
大きな目にいっぱい涙を浮かべている。
揺れたら、きっとそれが落ちてしまうだろう。

「どっどうしたの?誰かにいじめられたの?」

「違うよ!」

くるっと背を向けた雷蔵はなんと突然、水色の袴を脱ぎ始めた。

「ちょっ、雷蔵…!何してんだよ!」

泣いて現れたと思ったら、袴を脱ぎ出すんだもの。
わけがわからない。
すると、桃色を通り越してうっすら赤くなったお尻が。

ぴんときた。

「お尻…叩かれたの?」

「そうだよ!三郎のせいだからな!!」


なぜだ?
とりあえず、見せたかっただけらしい。
また元通りに袴を着ると、きっと雷蔵は三郎を睨みつけた。

「お前、学園長先生のお菓子食べただろ!」

ぎく。
今の今まで忘れていたが、思い当たる節は――ある。

「学園長室、掃除に行ったの三郎じゃないか!
 なのに、学園長先生ったら僕がやったと思いこんで…」

ああ、その先は想像できる。

盗み食いをしたのは三郎だが、三郎はいつも雷蔵の姿をしている。
(一年生にして変装の名人とも呼ばれる、忍術学園期待の星でもある)
なので、雷蔵が食べたと思いこんだのであろう。
学園長は入りたての1年生についてはまだよく把握してない。
加えて、子どもっぽいところのある思いこみの激しい老人だ。

何も知らない雷蔵をとっつかまえて、お尻ぺんぺんくらいはやりかねない。
いや、もうされたのであろう。


「学園長先生がぶったのか?」

「そうだよ!…もう!三郎なんか知らない!ばかーーーーー!!」

今までこらえていた涙がぽろっと落ちて、そこで限界がきた雷蔵は泣き崩れた。

「うわぁぁぁぁん!痛かったんだ〜!
 なんで僕がお尻ぺんぺんされなきゃいけないんだ!!
 三郎のせいだー!!もー嫌い!だいっきらいーーー!!」

「雷蔵…雷蔵…ゴメン…!俺、ちょっとお腹空いて…それで…」

「うわーーーん!もう!僕の顔やめろよ!いますぐやめろ!」

その言葉がなんだかとてもカナシクて、三郎は何も言えなくなった。


友達。
「キミの顔借りていい?」と恐る恐る聞いてみたら、「いいよ」と快諾してくれた。
そっくりになっても、気味悪く思うことなく「変装とっても上手なんだね」って感心してくれた。
それ以来、三郎はずっと雷蔵のことが好きだ。

でも、今、全力で雷蔵は三郎を否定している。
勘違いして雷蔵に怒った学園長に対して腹も立ったが…
結局悪いのは自分なのだ。

つい軽い気持ちでお菓子を食べてしまった自分が、嫌になる。
しかし、過去は戻せない。

おろおろとなんて言葉をかけていいか、悩む。
お尻をさすりながら、泣きじゃくる雷蔵をしばらく見つめて三郎は決心した。

 


「…っく。ひっく。さぶろーのばかぁ…」

泣きも終わりに近づいたころ、なおもぶつぶつ言って雷蔵は顔をあげた。
今までは、うつむきながら片手の拳で涙をぬぐって、片手でお尻をさすって…と忙しかったのだ。
そして、ギョっとした。

三郎が、袴を脱ぎ出していた。

帯を解いて、袴を膝まで下げる。
そしてお尻を出して言った。

「雷蔵…。ごめん。お尻…おんなじにして」

羞恥か、ほっぺを真っ赤にしながら、必死に言う。
三郎は膝に手を当てて、中腰になってお尻を突き出した。

痛いのは嫌だ。
でも、雷蔵が痛くされたのに、自分がのうのうと何もされないのはもっと嫌だ。
嫌わないで。
怒っていい。
おんなじ目にあわせていいから、…いや、もっといっぱいぶっていいから…

許して。


「ごめん…別に…雷蔵に…迷惑っ
 かけるつもりじゃなかったんだ…」

必死に言葉を紡ぐ。
「嫌い」「もう僕の顔やめろよ!」という言葉がぐるぐるして、…胸が痛い。
なんだか、悲しくてたまらない。

雷蔵がびっくりして見てる。

「お…お尻…叩いて…から…ゆ…して…い…」

お尻を叩いていいから、許して欲しい。
その言葉を出すのはおこがましいような気がしたけれども。
でも、頼みたかった。

けど、雷蔵には分ったようだ。
迷っている。
ちらちらと、お尻を見て、自分の手を見て…迷ってる。

三郎にはとても長い時間に感じられた。
お尻を出した自分はさぞ間抜けな姿に違いない。
これで、断られたら。
自分はもうどうすれば良いのだろう。
絶望感で目の前が暗くなってくるようだった。

 

 

                                                              

 

 

 

 

「…分かった」

しばらくして、小さい声がした。
もう泣いてはいない。
何かを決心したような声だ。

――良かった!!

心底安堵しながら、三郎はもう一つの恐怖に襲われる。
痛くしていい。
でも、痛いのは怖い。
でも、痛くしてほしい。

雷蔵以上の罰を。

でも、それはどんなにか辛いことだろう。

友達の小さな手。
でも忍術学園に入って、自分たちは鍛えられてきている。
手で崖を登る練習だってした。

どれくらい痛いのかわからない―――!


でも、許してくれるんなら。

ぎゅ。
覚悟をきめて目をつぶった。

 

 

 

雷蔵は、小さい丸みを帯びたお尻を見つめていた。
お風呂には一緒に入るけど…こんなに見つめたのは初めてだ。
三郎の肌は打撃を受けずにまだ、白かった。

なんだか、それに手をかけるのはためらわれた。

けど、確かに自分は腹を立てている。
三郎のせいで自分はお尻を叩かれたのだ。
それも廊下で!
「ワシのおやつを勝手に取るとは〜!悪い子だ!!」
怒鳴られ横抱きにされて、あっというまに袴を下ろされた。
問答無用とばかりに勢いよくぺんぺん叩かれて、必死に釈明したころにはもう遅かった。
じんじんと熱くなるような、ひりひりするような…あの痛み…

勇気をふりしぼって、雷蔵は手を振りかぶった。

 

エイ!

ぴしゃん!!

 

思ったよりも大きい音が響いて、雷蔵はびっくりした。
みるみるうちに、桃色の手形が浮かび上がってくる。

三郎を見ると、必死に目をつぶって堪えていた。

「ゆるしてほしい…」
といった先ほどの弱々しい声が蘇る。
いつも、自信に満ちているのに。

「雷蔵…もっといっぱい…!」

目を閉じたまま言う三郎に、なんだか混乱して…
でも言われるままに、雷蔵は叩いた。

ぱしん!
ぴしゃん!
ぴしゃん!
ぴしゃん!…!!

 

 

 

 

 

 

 


そのたびに体勢がぐらついたり、「ぅ…」と呻いたりしたけれども。
三郎は抵抗しない。

何発叩いたかもわからなくて、でも力いっぱいふりおろしてるからか掌も痛い。
それでも、やめることはできなくて…
三郎の真白かったお尻は、あっという間にまんべんなく桃に染まった。

 

 


ひりひりする。
疼きか痛みか消える間もなく次の衝撃が襲ってくる。


ごめん、ごめん…雷蔵。
おれのせいでこんな痛い目にあわせてしまった…

 痛い…

   痛い…


しばらく耐えていたのだが、平手の攻撃は唐突に止んだ。

「??」

目を開けてみると、それまで必死につぶっていたからか目がちかちかした。
振り返り、かすんだ目で雷蔵を探すと…

「さぶろうのばか…」

泣きそうに歪んだ雷蔵の顔があった。


なんで泣くの?
怒ってないの?

不思議に思ってると、突然抱きつかれた。


「うわぁ!」

体勢が崩れ、二人してもつれあう。
そして、尻もち。
下半身出したまま、叩かれた後に尻もちをついたのだから、激痛が襲った。

「もういいよ!」

が痛みよりなにより、雷蔵が許してくれたことの方が大きかった。

「もういいよ、三郎!もう気が済んだから!」

「ゆ…ゆるしてくれるの?」

「あぁ!」

「嫌いじゃない?おれのこと…もう嫌いじゃない?」

「ばか!と…友達だろ!」

「雷蔵の顔…止めたほうがいい?」

「いいよ!気にいってんだろ?そのままでいいよ!!」

ぎゅーーーーっと抱きしめながら、雷蔵に言われて、三郎はほっと力が抜けた。
「友達」という言葉がこんなに嬉しいとは。

 


「三郎…なんで…なんで泣くんだよ…!」

「雷蔵こそ…!…これは嬉し泣きだよ…!」

「僕もそうだよ!!」


2人とも、コロコロもつれ合いながら泣き笑った。
お尻はまだジンジン痛んだけど…無理に忘れることにして、袴を直すと三郎は改めて雷蔵に抱きついた。

「ホント、ごめん。」

「もういいって。次は気をつけるんだぞ。あ、もうすぐお昼が終わる。
 急いで行ったらおにぎりくらいは食べられるよ!」

 

ニコニコ笑顔の、双子のような忍たまたちがそれまでのシリアスな空気を破るように食堂へ向かって行った。

 

 

 


******

 

それから4年後。


「うっわ、その話マジ?」

「そうだよ。でも三郎にはナイショね!」

「うーーむ、想像つかん」

渡り廊下を歩きながらほのぼのと会話を楽しむ、五年ろ組 不破雷蔵。
同じく、ろ組 竹谷八左ヱ門。い組 久々知兵助。
雷蔵が昔話をすると、二人は普段の三郎を思い出して今と昔のギャップにおののいた。
級友のイケナイ過去を覗き見したような気持ちである。
そんな純粋な反応をするとは。


今の三郎と言えば…


「不破!」

突然、六年生の七松小平太が塀の上から呼びかけてきた。

「お前、不破だよな!今までここにいたか?」

「?そうですけど?」

「くっそ、鉢屋三郎め…!!」

そのまま悔しそうにつぶやくと、すぐさま塀を降り姿が見えなくなった。
そして

「不破はいたか!」

「ちがう!鉢屋のせいだった!」

「追え〜〜〜!!」

裏から六年生の怒号が聞こえてきた。
どうやら何かやらかしたらしい。
慣れているとはいえ…

「やっぱ、三郎ってばこうだよなぁ…」

「根っからの悪戯好きだな。アイツは。」


不破か?と改めて尋ねられるということは…
今日も自分の顔をして、六年生にちょっかい出しに行ったのだろう。

一年生の時。「僕の顔をするな!」と言った時の、心底傷ついたような顔。
あの顔を見てしまってから、どうも弱い。
必死にお尻を差し出してきた健気な姿も。
友達って言葉に心の底から安心したような笑みを見せた姿も。

余程インパクトが強かったらしくて、まだ覚えてる。

それがあるから、もう顔を使うのを止めさせたりはしない。

だけど…


それから四年、可愛かった友達もすっかり忍術学園に慣れ上級生としてふてぶてしくなった。
そんな奴に容赦はいらない。


そろそろまた…お灸が必要かもね。

 

「三郎に会ったら、僕が呼んでるってつたえておいてね」

兵助と八左ヱ門はぎくりとした。
雷蔵がにこりと笑っている。が、目は笑ってない。
この笑顔を見たとき、嗚呼、三郎は雷蔵には敵うまい…と二人は思うのだった。

 

 

 


       〜fin

 

 

2009年2月18日

はやと

 

 

書いちゃった、描いちゃった!鉢雷で一年生(笑)

純真な二人が書きたかったんです。

昔から二人は仲良しだといいなw

…五年生を知ってる貴女は、かなりの忍たま好きさんですヨ(笑)知らない貴女は普通です♪

続編ってことでもないけど、次の作品も鉢雷ですwwww(どんだけー)

イラストも一応頑張ってみました(^し^)イラストあるから…わかんない人でも楽しめる…と…いいなぁ☆


 

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