【無題】

 

いけないことをしたわけでもない。

けれど、イイコトをしたわけでもない。

だからか、どこかで自己嫌悪。どこかで後ろめたい。

理由もないのに。

日常は平凡で幸せであるはずなのに。

満たされない想い。

葛藤。

渇望。

何を、何のために、どうして生きてるのだろう?

愛して。

この身を見て欲しい。

そんな時湧き上がってくる、得体の知れないトロリとした感情。



      「誰か僕を裁いて」



誰でもいいよ。

激しくてもいい。

切り裂くような痛みでもいい。

焼けるような痛みが欲しい。

この曖昧とした空間から、だれか僕を助けて。


いつの間にか何に対しても無反応、切り替えも出来ぬまま、流されるだけ。
いつしか、日常はぼんやりして、楽しいのになにか違う、どこかで冷めている自分がいて。
でも、痛みが。くり返しもたらされて、自分の中で耐え切れなくなったとき。

僕は声を上げるだろう。

叫ぶだろう。

ひどく困惑し、許しを請うほどに。

泣き叫ぶ。

激情のカタマリが…

そう、熱い想いをこの自分から引き出して。


僕は、その時を待っているんだよ。




出会いは、別にたいしたことはない。
そういう機関に行っただけ。
それでも。
そして、念願の時が来る。

貴女は静かに笑う。

    「いらっしゃい」

それは何?

営業スマイルなの?

まあいいや。うん、どうでもいいよ。

なんでもいいよ。

手にはパドルが。

それで僕を打つの?

そんなか弱い腕で?

静かに横たわる僕に、本当の衝撃が襲うのは少し後のこと。



      ――――――――――――嗚呼、生きてるって感じがしたんだ…


誰でもいい…誰か。僕を裁いて…

       そして消えるよ…何もかも。

雑念から解放されて…楽になれる…

 

 

 

はやと

2006年06月03日(土)

 

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