【気まぐれな戯言】

 

○月○日
 月の美しい、梢が揺れる程度の風が吹いてる夜 某所より。

 

SPをこよなく愛す皆様、こんばんは。

同士、フライアフデロンディアーヌ伯爵である。

貴方と貴女方の妄想を、今宵の一興に、私に聞かせてはくれぬか?


想像してごらん。


談話室くらいの大きさの部屋で、二人きり。
暖炉が暖かく燃え、窓の外は日が落ち、夜となす。
夕食後、いつもは居心地のいい空間を作っているはずなのに今夜は勝手が違う。

片方は貴方。片方は違う人。

不穏な気配が入り混じり、心の臓が大きく波打っている。

白々とした空気。

お互いに気まずいが、なるべく早く、解決しなければならない。
いつまでもこうしているわけには行かないからだ。

決断が待たれる。

さて、貴方はどちらの立場?
裁決し執行する側か、される側か。
犯してしまった罪。
裁かれて、しかるべき罰。

 

 

裁決する場合だとしたら、どうだ?

今の気持ちは。

過ちを犯した相手に対し、怒り、ないし失望を味わっているだろう。
だが、決意に似た思いがわきあがってるはず。
この手で、犯した過ちを償わせてやらなければならない。
どうしてくれようか。

もちろん仕置きするのである。
悪さを働いて、謝りもしない、強情な子ども。
ああ、どんな年齢であろうと関係はない。
往生際が悪いのが子どもだからね。
そんな子どもには、お尻たたきのお仕置きがいちばんいいものさ。


さて、それはどのようにして行っていこうか。

テーブル・椅子・ソファー


腰掛けて、己の膝に乗せるのか。
テーブルに手を着いて自分で体を支えさせるべきか。
椅子の台に腹ばいになり、体をくの字にさせるべきか。
ソファーの上に四つん這いにさせるのか。

服の上からか。
下着の上からか。
それとも…素肌からか。

そして、哀れなるお尻に振り下ろされるのは?

掌か。

鞭か。

パドルか。

ケインか。

受刑者が、反省して許しを懇願するまで打ち続けていく。

右に。

左に。

真ん中に。

下に。

上に。

腿と尻の狭間に。

どうだ?


頭の中ではどんなストーリー、どんな情景ができあがっていく?


鋭い肌を打つ音、衝撃によって出る悲鳴。

反抗的だった口調が、徐々に弱々しくなっていき、痛みのためにでるのは、切れ切れな言葉と乱れた息。
本当に反省したかどうかは、まだ分からないよ?
打つ手に力を込め、時に弱め、早く、遅く、様々な角度から叩いては翻弄していく。
打ち据える先は、苦痛に耐えかねて跳ねる身体。

どんな気分だ?


色が赤みを増してくる。

肌色から、薄い桃色へ。朱色へ。

そして深紅へ。

蚯蚓腫れができるかもしれない。

あざもできるかもしれない。


やがて相手の限界を知るだろう。

幾度も叩かれた箇所に熱が宿り、熱さとなって、メッセージを伝えてくるはず。
そうしたら、徐々に、許す時期を考えていく。

ゆっくりと。

貴方の手は動きを止め、口からも許しの言葉が出るだろう。

そしたら、罰の……終わり。

 


しかし。

される側、と言う場合だったら?

自分がよく分かってる罪。
認めたくない心。
素直になれない言葉。
ちょっと虚勢を張って、相手を睨む。

どうしよう?

逃げてしまおうか?
 …あとでつかまるけど。

自分の悪さをあくまで認めないか
 …証拠を突きつけられて自白させられるけど。

素直に謝ろうか
 …それでも罪が帳消しになるわけではないけれど。


結局は、この対峙している怖い瞳から逃げられることはできないのだ。

 

「おいで」


その言葉が、きまり。
覆すことはできない。

どんな気分?

足が動かない。てか、動きたくない。

でもそれでも動かなければならない身体が恨めしい。

のろのろとたどり着いた場所は、そう。刑の執行場所。
ここまできたら、逃れられない。

横たえるしかない。

服の上でもケインで思い切り打たれれば、激痛だし。

下着の上からでもパドルやヘアブラシの背で打たれれば、平手以上にダメージを追う。

下着を下ろされれば、平手だって相当痛い。

定規だなんて、もってのほか。

だが、しかし、その方法は自分では決められないのだ。
――すべては相手に。

恥ずかしいと思っても、やめて欲しいと言っても、罰は変わらない。
これから打たれるであろう尻以外には用がないように、自分の存在さえも所在無い。
不安定さ。

自分の行いのツケをお尻でもって贖わされる瞬間。

思い出して感じて欲しい。

不安定な自分。不自然な沈黙。
それからおもむろに与えられるあの痛みを。

衝撃を。

音を。


鋭い、痛み。そしてじわじわとひろがる疼き、ひりつく肌。

たったの1打で貴方の決心は簡単に揺らぐだろう。

意地を張っていたことのバカらしさ。後悔。
自分の行いを認めだす、素直な心。
しかし、もう遅い。

1打で終わるはずもない。
これは序章なのだ。
さらなる地獄へのプロローグ。

もう反応が出たことに対し、相手は満足するだろうが、徹底的にこの際分かってもらおうと張り切り始めるだろう。
2打目はさっきよりもっとすごい痛みかもしれない。

何回叩かれるのだろうか?
それはわからない。

もう、貴方は自由にはならない。
執行者の意のままに。
どれほど減刑を望んでも、痛みを訴えても。
これはお仕置きなのだから。

 

真に良い子になるまで、許されることのない痛みは続く。

 

 

さあ、2つの対極を想像してもらった。

自分で、それぞれの立場になりきってもらったが…。

はたしてどちらの立場にトキメキを感じただろうか。

どこまで細部にわたって想像できたかな?

もちろん、前者がカーで、後者がキー。


自分の嗜好は、本人にしか分からない。

しかし、これを読んで少しでもどういう立場、シチュエーションが気に入っているか自己確認していただけたら幸いだ。
そして、更なるスパンキング世界の発展へ。
想像は、時として素晴らしい作品を生み出すきっかけになる。

これからも興味深い作品の数々を見せてくれ。

甘美な痛みと倒錯の世界で生きている、ある意味真面目な者。
私はそんな、スパンカーやスパンキーたちが大好きだよ。


おや、私がどちらの立場に位置付いているかって…?

くっくっく…
私は内緒。

ご想像にお任せする。
 

はやと

2006年04月04日(火)

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