【リングにかけろ!!】
☆題名だけパクリだけど、深い意味はないっす(笑)
ガッ!!!
殴られた衝撃で、キレた。
皮膚じゃない。そんなやわな鍛え方はしてない。
キレたのは、精神。
ぷっつりいった自制心は戻らず、あたしは…!!
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ここは、プロレスのリング会場。
大手のものと違い、300人ほどが入れる少し小さいところ。
キャラクター性の確立と、少しのお笑い部分も含めた独特の雰囲気を売り物にしているウチのプロレスクラブは、徐々に人気を集めてきている。
弱小から、人気クラブへ…その夢を、20名ほどの団長含めた選手たち(女子が多いのが特徴)で叶えていこうとしているの。
それぞれの役割がわかりやすいので(ヒーロー、ヒール、コメディが大まかな分類)、お客さんたちも喜んでくれるようよ。
あたしは、ベイビー京子。年は20歳。
リングネームはこの童顔から、社長がつけた(ホントはとっても恥ずかしいんだけどね!)。
得意技は、ジャンピングエルボー、レッグラリアート!
このクラブには半年前に入団し、新人として先輩の皆にお世話になっている。
ただし、プロレスは8歳のころから始めたから、年季は入ってるけど!
でも、これまでの成績は…まだ1勝しかしてないの…。
まだまだ修行中、駆け出しの身です!
結構カワイイ顔と(自分で言っちゃったvv)、選手にしては小柄な方なのでほっとけないみたいで、お客さんたちにも人気はまずまずってとこ。
小動物系に見られるのは、プロレスラーとしてどうよ、とか思うんだけどね!
今日は、第2試合のタッグマッチを任されたの。
ベイビー京子・REIKA VS オディール・巴
REIKAさんはすごく頼りにしてる先輩。
女性だけど、男性に引けをとらない強さをもってるから憧れてる。
あのジャーマン・スープレックスは真似したいな!!
オディールさん、巴さんは正規軍じゃなくて、悪役軍だ。
正規軍は、ちゃんとしたルールにのっとったプロレスをし、クリーンな闘いを見せていく。
ただし、悪役となるとそうはいかない。
審判にケンカを売り、見ていないところで反則をし、ブーイングを巻き起こす。
素顔の彼らは良い人ばかりだけど、ヒールに属した以上、試合中は徹底的にヤルため、パフォーマンスがパフォーマンスにならない。
本気で痛いし、腹も立つ。
それにお客さんも共感し、場内が沸きあがるのだ。
熱く試合をさせ、私たち正規が勝つのを望んでる。
今日も、一癖も二癖もあるベテラン2名と戦うにはなにかがあると思っていたけど…
まず、先にあたしが出させてもらい、隙をついてタックルをかましたのは良かった。
小柄といえども、勢いをつけてのタックルにはそこそこの威力があるから。
躊躇した隙を見て、オディールにパンチを叩きつける。
反撃はさせない!
でも。
調子に乗るあたしに足払いをひっかけて、それくらっちゃったものだから、形勢逆転、足責めにあって苦しんだ…。
必死にロープまで戻ってきて、REIKAさんにタッチ。
オディールに反撃を食らわせてくれたw
ま、そこまでは良かったんだけど、徐々に、二人の悪どいことが始まって…。
攻撃を食らわすREIKAさんの後頭部に巴がキックしたんだ。
タッグマッチなのに。
そんでもって2人がかりで攻撃してきたもんだから、もちろんあたしも入って、巴にエルボー食らわせてやった。
乱闘になってきたときにレフェリーが止めに入り、試合が再開。
でも、レフェリーの見ていない隙に、オディールがパイプ椅子を持ち出し、REIKAさんの背中に叩き付けた!
悶絶する隙にパイプ椅子を隠し、ジャブ、コーナースプラッシュを仕掛けたもんだから、流石のREIKAさんも苦しんでいた。
叫び、タッチを要請すると応じてくれ、あたしがオディールに戦いを挑む。
でも、相手はまたパイプ椅子を持ち出してきたんだ。
スタンピングチェアの威力…痛い、痛い…!!
その瞬間。。
キレてしまった。
足払いを放ち、かわされてなおも逆上したあたしは、オディールがキックパスして巴が隠そうとする寸前のパイプ椅子をGET。
奪い取り、投げつけた!
その瞬間、場外からどよめきが聞こえたような気がするけど、気にせずオディールにとびかかりフェイスクラッシャーを叩き込んだ…椅子の上に。
当然、オディールも苦しみ、それに怒った巴が参戦。
巴は、ガタイがとにかくいい!
男並みの筋力が、スタナーを食らわしたからまともにくらったあたしは吹っ飛んだ。
そっから、先は覚えてない。
気絶したらしい…。
気がついた時には、試合は全部終了しており、控え室で寝ていた。
起き上がると、身体や顔に痛みが走ったが、そんなことはどうでもいい。
無様に負けた…
REIKAさんに迷惑かけたんだ!!
その思いがたまらなく、私はベンチから降り、部屋を飛び出そうとした。
ドン!
が、ドアはちょうど開けられるときで、入ろうとした人にぶつかってしまった。
「す、すみま…あ、REIKAさん!!」
「あぁ、大丈夫か?お京?」
彼女は私を、お京と呼んで可愛がってくれるんだ。
「は、はい!すみませんでした…!!負けてしまって…」
「それはいい。負けることは、勝つことへの一歩だからな。」
「はい…」
にこやかに話してた、REIKAさんが次の瞬間、顔を険しくした。
「だが、私はお前に話をつけなければならない」
「え?」
後ろ手にドアを閉め、あたしの腕をつかんでベンチまでいき、共に座った。
そして、顔をはさみこんで、見つめてきた。
「何に怒ってるかどうかわかるか?」
「…」
「何故、イスを使った?」
「あ…」
そうだ。負けたショックで忘れてたけど、イス…反則…
「悪役とお前とでは、求められるモノが違う。」
!!
悪役は憎まれ役になるため、しばしば反則も使う。
しかし、正義はそんな悪に負けずに正統な技と力で戦って勝つ…
それを…
「あ…」
「わかったようだな?」
「はい…すみませんでした。」
うなだれたあたしだったが、肩をつかまれてそのまま膝に落とされる。
「ぅえ?ひゃっ」
「カンタンに赦されると思うなよ?たっぷりと償いはしてもらわなくちゃな」
力強い手が背中をつかまれて、自分の体勢は非常に不安定なものとなっていた。
「な、なにを!」
「…」
と、答えは平手となって、あたしのお尻に振り下ろされた!!
バッチィーーーーーン!!!
コスチュームのパンツに当たるも衝撃が広がり、痛みが走った。
「ぅあっ」
無言の、絶え間ない衝撃にたまらず、足をバタつかせる。
「先輩!!」
「やめて!!」
「やめてください!!」
悲鳴にも動じることなく、REIKAさんは今度はパンツを引っぺがした。
空気が肌に感じられた。
すでに熱くなっている感じがする。
そこに、またもや容赦ない一撃が食らわせられる。
ピシャーーーーーーン!!!
激しい音が室内に響き、その痛みのすさまじさに息をのんだ。
なんたって、この拳で並みの男なら1撃必殺。
その力で叩かれたら、いくら鍛えてるあたしだって無理だ!
「痛いよぉ!!」
「当たり前だ!!お仕置きだからな!」
一喝された…
お仕置きだって…こんな…子どもみたいに…
尊敬する先輩にこんな目にあわされて、悔しぃ…!!
歯を食いしばるものの、痛みに負け…そ…
「ぅああぁ!!!」
どうしても叫ぶしかなかった。
もがき、押さえ込まれて叩かれ、余裕なんかない。
痛みの嵐!!!
身体への攻撃だったら何度もくらったし慣れてる。
しかし、こんなに尻だけに攻撃が連続するなんてはじめてだもん!!
こんなに平手が痛いとは!!
「あーあーーあぁーーーーーー!!!」
「やめてぇ!!」
「いたいーーーーーー!!!」
「ゴメンナサイ!!」
100回以上確実に食らったと思う…
ぎゅぅと目をつぶりすぎて、衝撃の星が見え始めたころ、叩かれる手がやんだ。
「わかったか?反省したか?」
頭の上からの声に、首振り人形になって応えた。
「よし。」
その声に一気に脱力した。
お尻が燃えるように痛い。
痛い。痛い!!痛いよぉ…!!!
多分、緊張のしすぎでふるえてたんだと思う。
背中をなでられて、…何回もなでてもらった。
ズキズキしてるお尻に恐る恐る手を伸ばした。
!?
感触が違う!!
薄く肌がのばされて、でも中から腫れ上がってる感じででこぼこしてた。
そして、とにかく熱くなってた…
しばらく背中をなでられた後、身体を起こしてもらって再度、見つめられた。
「お前には、ファンもいる。お客様の期待は裏切るな。今回のことがイメージダウンになるかもしれないんだぞ?
お前はベイビーだ。可愛いがられて、強くなっていく様を見たい。
期待…私たちだってしてるんだからな?お前はもっと、伸びろ!強くなりたけりゃ、もっと練習しろ。反則の上をいくような選手になれ!!」
その真剣な瞳。
自分への想いがあふれていて、胸が熱くなった。
もちろん、嬉しさからだ。
「は…はい!はい!ごめんなさい!!!」
一生懸命、返事をすると、厳しい顔つきが和らいだ。
REIKAさんが赦してくれたんだ…。
そのことが、ひたすら嬉しい…。
「おし!!じゃ、スクワット100回と腕立て伏せ200回。受身100回やっとけ。掃除も忘れんなよ」
え…
ようやくほっとしたものの、更にノルマを言い渡され、顔が引きつった(汗)
あたしの身体もつんだろうか…
受身なんて、お尻がもたないよぉ…
「グズグズするなっ!もっと叩かれたいか!!返事は!?」
「は、はい!!」
はうぅ〜、きびしぃ…!
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ベイビー京子、お客と先輩達と自分のためにがんばります!!
目指せ、2勝目!!
強くなってみせる!!!
2007年03月08日(木)