【近未来】

 

20××年。近未来。
コンビニでケインが売られる時代となる。

なぜか?
簡単にゆーと、
まぁ、ぶっちゃけ、大改革が起きてだな?
この国JAPANには、これまでのゆとり教育や子どもの権利・躾などなど色んな教育面において、
今までとは全く違う制度が介入された。


叱るとは何か、を忘れた親。
 
悪いことをしても叱れない大人。
 
善悪がわからない子ども。
 
そういうものが増えすぎたためだ。
 
賛否両論はあったとはいえ昔に倣い、ちゃんとしたマニュアルが作られそれに基づいてちゃんとした躾をするのは、
将来的には良いであろう…ということで。
その制度は20△×年、過半数ギリギリで通った。

それから10年。
 
徐々にその制度の結果は現れ、秩序というものも復活したように感じられる。
歴然とした結果に、不服はあまり起きなかった。


――その制度の名前は…ディシプリン制度。

悪いことをしたら罰を…

その罰とはお尻をたたくこと…

お仕置きにお尻を叩く制度のことである。


「麻美!アンタ近頃怠けすぎよっ!
 3日間学校の宿題やってないでしょ!お尻出しなさい!!」

「ヤダーーーー!!」

ペンペンペンペン!!

「ごめんなさいー!!」

「反省したの!?」

「したぁ〜(泣き)」

 

「健太!!お前って子はまた悪さして!
 母ちゃんがまたお仕置きしないとわかんないのかね!!」

「うっせーな!」

「(怒)」
 
バシバシバシッ!!

「あー、やめてくれよー、かぁちゃーん!!」

 

こんな光景はもはやアタリマエになったのである。


さてさて…。
前置きはこのくらいにするか☆

そんな近未来。女子中学生2人の姿を追ってみようと思う。

 

*********


「麻美〜、一緒にかえろ〜♪」
 
「うん、そうしよ!!」

芽衣と麻美は仲良しさん。
帰るときもいつも一緒だ。
話題は、今日の学校のこと、美味しいケーキ屋さんのこと。
好きな俳優のこと、最近ハマってるマンガのこと…などなど様々で、毎日毎日ちっとも尽きることがない。

今日の話題は…

「あーあ、ヤダなぁ…昨日おかあさんに怒られちゃった☆」

「どうしたの?」

「数学の宿題やるのがイヤでさ〜、あのドリルのやつ。
それをしなかったら先生からの手紙が来たみたいでバレちゃったんだ〜」

「あー、それはコワイね(^^;)」

「もー、すっごく怒られちゃった!
 お尻が真っ赤になってんのに許してくれないんだよ。
 もー、おかあさんって厳しすぎない?」

「ウチのママも、怒ると怖いよ!この前ちょっとかるーいウソついちゃったんだ。
 ホントたいしたことないんだよ?なのにさ、バレただけで、100回もお尻ぶたれた」

「えー…そうなんだ〜。お互い苦労するね〜!でも、やっぱ芽衣んちのママは優しそうじゃん!
 100回でもたいしたことないんじゃないの?」

「そんなことないよ!すっごく痛かったんだから!
 それいうなら、麻美のうちのお母さんだって、華奢だから痛くしそうにないんだけどな?」
 

昨日されたお仕置きについての話題が出たのだが…
いつのまにか、「自分のほうが痛い目にあった」という主張が論点のポイントになってきてしまっている。
(↑お子様のお約束)

仲良し故にケンカに発展することはないがなんとかして自分の痛みの酷さをわかってもらおうと、話はどんどんエスカレートしていった。


「だって、青あざできたことあるもん!」

「私だってあるし、それから一週間座るのめっちゃ痛かったんだから!」

むー、どっちがどっちでもあまりたいした違いはないのであるが、そんなことはすっかり興奮した2人には関係ない。

今度は、どれくらい自分が痛みに対して耐えられたかを力説している。


〜〜30分後。

一つの結論に達した。
 
どっちが、お仕置きに耐えられるか。
 
競争してみよう。


それには、お仕置きしてくれる人が必要であるのだが…
流石にそれぞれの親に頼む勇気はなかった。

 

「あ!いいことを考えた!デパート行こうよ!!」

「あ、いいかも!」

二人は、答えを探してデパートに行くことに決めた。

 

今のデパートには普通に「ディシプリン売り場」が設けられている。

ケイン、ブラシ、パドルなどさまざまな道具が陳列。
そしてお仕置きマシーンなるものも売られているのだ。

お仕置きマシーンは文字通り、コンピューターが組み込まれた自動でお仕置きをする…
子どもにとっては悪夢のようなマシーンである。
高額なため、庶民には手が出にくい。
もちろん庶民の麻美と芽衣はマシーンを使ったことはない。
それでも、良家が子女のために購入したり、学校側が購入したりしているため、廃れることはないようだ。


そのお仕置きマシーンを試運転し、2人同じ数だけ叩かれるように設定し、どれだけガマンできるか…
いわばガマン大会である。

「よーし、負けないからね!」

「こっちだって♪」

ゲーム感覚でうきうきしている二人は、まず「許可証」なるものを書いた。

親が購入を希望するが時間がなくて一緒には来れない、今日は試運転だけをさせる…と。

こういったものがあれば、ただ試運転するだけだもの。
売り場の係員も許してくれるはず。

そんなこんなで、大手デパート「サトーココノカドー」の8階に向かった。

 


閑散としている。

 

まずは色んな道具の種類を見せ付けられて、2人はちょっとゲンナリした。

「あー、この色可愛い〜wwけど、これがなんでお仕置き用ブラシなの?」

「見て〜、このぶたさん、パドルだって!!こっちにはワニさんもある!」

「げー、こんなんで6000円だって!」


怖いながらも、ウィンドウショッピングを楽しんでいると、暇そうにしていた係員が気づいてやってきた。
30を過ぎたくらいの年齢の女性である。

「お嬢ちゃんたち、なんの御用?」

「あ、あたしたち…あ…」

「あ、これ」

急に緊張してきた2人は偽の手紙を渡した。
すると係員は「あ、そうなのね」とあっさり納得し、奥の衝立の向こうへ連れて行った。

衝立の向こう側は色々なマシーンが整然と並べられている。

「お嬢ちゃんたち、試運転を命じられるなんて…なんかイケナイことでもしたの?」

「あっ(そっか、…何にしようかな?)、昨日宿題をやるのを忘れちゃって…」
 
「私も…」

「そう、うっかりさんなのね…。
 じゃぁ、もうそういうことがないように、しっかりとお尻に教えなければならないわね。」

「は、はい…」

「このマシーンは色々とマニュアルに基づいて設定が出来るから…試運転でとりあえず、やってみましょう」

「あなたはここに腹ばいになって?あなたはこっちのマシーンね」

――キタ!

2人はごくりとつばをのみこんだ。
コレは痛みを伴うキケンなゲームなんだ…
でも負けるわけにはいかない。

覚悟を決めて、並んだマシーンにそれぞれ腹ばいになった。
お腹のところには枕のようにふわふわしたものが当たる。
そのためお尻が自動的に高めにくるようになっているようだ。

手足が拘束された。

「え?」

「暴れて逃げ出さないようにするためですよ。」

なんだかどんどん嫌な感じになっていくが、仕方ない。

初めてのお仕置きマシーン体験に、2人の胸は高まった。

「宿題忘れ…と」

ピ・ポ・パ、と入力していくとマシーンが動いた。


ギュィーーーン…

起動するモーター音がかすかに聞こえてくる。

制服のお尻が無防備にさらされている。

ガシ。

背中にも圧迫感を感じ、「ぁ」と小さく芽衣は悲鳴を上げた。

これで完全に逃げることはできなくなった。

この状態だけで、十分怖いが…


「オ仕置キレベルヲ選択シマス」  

「平手レベル100 パドルレベル50 ケインレベル20」


「ええ!?なんか酷くない!?」

「もうちょっと軽くならないの!?」

「…お嬢ちゃんたち。遊びは終わりよ。
 どういうつもりだかわからないけど…。今から、親御さんに問い合わせてくるわ。
 …私を甘く見ないで頂戴」

罪のレベルが重すぎると騒ぎ立てた2人に対し、ぴしゃりと冷たい声になって係員は言い放った。
一気に窮地に立たされた。

「!!!(バレてる!)」

「バレないとでも思ったの?
 このへたくそな字はあなたたちのものでしょう?」

「やめて!おかあさんには言わないで!!」

「こんなウソの手紙でだまそうなんて何考えてるの!?」


必死になってすがりつく子どもに、苦笑して、彼女はまずは言い分を聞いてやることにした。
でも、聞き終わると…

「そう?くだらないわね。ここはデパートよ。ゲームセンターじゃない。
 あなたたちの浅はかな考えがバレないと本当に思ってたの?甘すぎるわ!同情の余地はないわね」

「ごめんなさい!」

「ごめんなさい、もうしない。から許して…!」

「お母様たちにはきっちり知らせないと」

「それだけはよして…!!!」

「そんなことされたら、どんな目にあうかわからないもの…!」

涙目になって、2人はすがりついた。
こんなことを思いつかなければ、今頃はおやつを食べてたかもしれないのに…

母親にバレたときに行われる罰を考えると、肝が冷えていく。

「そんなにお尻を叩かれたいのなら、たっぷりと叩いてあげますっ!」
 
叱責の声とともに飛んでくる痛み…


「あら、お仕置きマシーンのほうが怖くないっていうの?
 いいわ。じゃぁ、選ばせてあげる。
 このままお仕置きマシーンで叩かれるか、母親から叱られるか。
 どっちに転がっても痛い目にはあうけど…悪い子には必要なことよね」

ぅ…
迷う…

けど、母親の雷のほうが、リアルさがあって2人にとってそっちのほうが怖かった。

「お仕置きマシーンで…」

「そう。覚悟はいいわね?イタズラをする子はどんな目にあうか…その身でたっぷり味わいなさい」

ピッ

「オ仕置キヲ開始シマス」

「イチ…」
 
バシィ!!

ものすごい衝撃が走った。

「ニ…」
 
バシィ!!

機械だからゆるがない、一定の強さの平手(?)

「サン…」

バシィ!!
 

「あーん!痛い!!」
              
「あー!!」       

こんな調子で100も叩かれるの?
2人は真っ青になった。
でも、それが事実…。


係員は、イスに座って、見ている。
そう、見ているだけ。
 

「いたいい〜!!」

「もうだめ〜」

「ダメでもなんでも、機械が終わるまでは終わらないわ。」


どっちが痛みに強いか、ということを競争する気持ちはすでになく、2人はひたすら泣き叫んでいた。

ひりつき感を感じ、余韻で感じる熱さ。

そしてまた与えられる痛み。

「キュウジュウキュウ…」
 
「ヒャク…」

「あーーんあーん」

「イタイヨォ〜!!」

でも、まだ終わりではない。

 

「パドルレベル50ヲ開始シマス」

「イチ…」

バッチーーーーン!!!

「あーー!!!」


平手レベルより数段上の強めの打撃。

ゆっくりゆっくりと場所を移しながら、叩いていく。

スカート越しとは言え、たまらなくイタイ。
 
2人の泣きが本物に変わっていく。

 

50打になるころには、2人とも頭をふりみだして、泣きじゃくっていた。
だが。
手が、足がうごかない。
身体もうごかない。

「ごめんなさい〜」

「ごめんなさい〜!」

「あとケイン20ね」

そこになるとイスに座っていた係員は、立ち上がり芽衣と麻美のスカートを捲り上げてしまった。

「あらあら、随分と腫れたわねwパンツ越しからも真っ赤になってることが分かるわよ」

くすっと笑い、2人の頭をなでる。
揶揄するような口調ながら、その手は優しかった。
まるで「頑張れ」と励ましているような…
しかし、最後まで停止スイッチを押す気はないらしい。

下着になったことでより防御する術をもたず、ケインが飛んできては離れていく。
その切れそうな痛みをそれからたっぷり味わうこととなった。

2人の思いは一つ。


もうすぐ終わる…もうすぐ終わる…!!

 

「ジュウク…」

ピシィ!!!

「ニジュウ!!!」
 
ピシィイ!!

「コレデオ仕置キヲオワリマス」

マシーンの動きが止まる。


「あああーーーん」
 
「ごめんなさい〜!!!」

2人は泣きじゃくって、終わった安堵感にほっとしていた。

パチンパチンと拘束が解かれて、2人はマシーンから降りるとその場にへたりこんだ。

「もう、こんなばかげた遊びはよすのね」

「…はぃ…」

「(コクン)」

ため息をつくと、係員は出て行った。

 


すぐには動けず2人は抱き合って泣いていたが、そのうち落ち着く。

「あーあ…」

「ごめん、あんなこと私が言ったから…」

「ううん、私ものったもん」

「落ち着いたようね」
 
いつの間にか戻ってきた係員の手にはオレンジジュースがあった。


「2人とも、これを飲んだらお家にお帰り」

「はい…」

2人はこの人ちょっといい人なのかもしれない…と思った。

 


ディシプリン売り場はそれ以来、2人にとって鬼門となったけれども。
 
あとで、その話をこっそりするとき、何故か甘美な気持ちになる。
2人だけの秘密w

拘束されてのお仕置き。  
平手レベルが終わりだと思っても、また次のお仕置きが容赦なくくる。
終わったときの安堵感。
冷酷そうな係員の目…
「イケナイ子ね…」などの言葉。

そんなもんがたまらなくドキドキするのだ…。


「ね…じゃぁ、今日はお仕置きごっこしようか?」

「うん。今日はうちのママいないから、うちにおいでよw」


いけないゲームの続きは…家で…。

 

 


20××年。近未来。

子どもたちとお尻叩きの関係は密接なものとなる。

 

 
 
 
はやと

2008年05月10日(土)

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