【貴方の手は…】
貴方の手。
普通なんだろうけど、女の子の手を見慣れた私には大きく見えた。
貴方の手。
すこし、乾いていて、指の付け根に豆が少しできていた。
車を運転。ハンドルを切り、楽々と大きなワゴンを動かすのは見ていてうっとりする。
ピッチング、100km出てた。バッティングはね、すごい良い音してボールがとんでいくの。
テニスでも卓球でもラケットを器用に操り、ミスばかりの私の球もなんなくキャッチ。
すごいな。すごいな。
ラケットを掌に打ち付けて、挑発してくるんだけど、ばあんばあん!とすごい音がするんだよ。
でも、料理に関しては、ぎこちないの。
照れたように笑って、キャベツを刻んでいた。
大好きな貴方の手。
でも。
私がいけないことをすると、この手は怖くなるの。
怒って、癇癪をおこして、駄々をこねる私。
思い切り暴れるの。
オモイドオリニナラナイ!!
ワタシハワルクナイノ!!!
ムカツイテルンダカラ!!!
渾身の力で暴れるのに、腕をつかまれたらもうおしまい。
ちょっと引っ張られるとバランスが崩れちゃう。
ふらついたところで抱きしめられて身動きが取れないの。
どうしてかなあ、一生懸命逃げようとしているのに…。
がっしりとした腕のなかは、頑丈で、温かな鎖で縛られたみたい。
動き疲れて、少し大人しくなったら、お説教。
だんだんと落ち着いてくると、自分のしたことが分かる。
チョットワルイコトシタミタイ…?
急に気まずくなるの。
閉じ込められてるところから出たい…離して欲しい…!
そわそわしてる私の顔は、少し引きつってる。
「やっと気づいた?自分のしたこと。ちょっとやりすぎたみたいだね」
低い声と腕の力が強くなる。
怖い!
「さあ、お仕置きの時間だ」
嫌!!
押さえ込まれているから顔しか動かせなくて。それでも精一杯イヤイヤをした。
けど、あっとゆー間にくるんと体勢はひっくり返され、膝の上。
もちろん手足ははみ出るけど、肝心の腰はつかまれたまま。
這ってでも逃げようとするのに、だめなの。
ズルイよ、ズルイよ。
男の人ってズルイよ。力が強いんだもん。かなわないよ。
今日は、スカートとスパッツ履いてたの。
スカートはめくりあげられ、スパッツでぴっちりしたお尻にぺちん!
イタ!
ホントは少し痛かっただけだけど、びっくりして盛大に騒いでみた。
「痛いの!ヤダ!やめて!!」
でもちっとも気にしてくれなかった。
返って力が増したみたい。
貴方の手。
ラケットじゃなくて、今じゃ私のお尻がばあん!って言ってる。
衝撃がすごい。音もすごいけど、痛さもすごい!
スパッツはいてるのに…。
いっぱい、いっぱい、ぶたれたら、痛いよ、痛いよ、助けてよ…。
痛いので涙が出てきた。
でもね、スパッツの次はパンティで。パンティもおろされたら、裸のお尻にもお仕置きされるみたい。
まだまだ終わらない…
最初は「ばん」とゆー篭った音だったけど、裸のお尻だと「ぴしゃんぴしゃん」ってカンジで鋭い音。
本当に力がつよくって。
鋭い痛みなんだね。
演技で泣いてた私は次第に本当の泣きに入っていく。
子どもみたいに泣きじゃくって、「いや」とか「ごめんなさ〜い」とかいっぱい言うの。
でも、許してくれなくて、さらなる絶望へ。
掌とお尻が同化したように熱を持っていく。
たたかれるたんびに、びくんびくん、身体が動いちゃうよ。
お尻壊れちゃう…!
ああん!
もう、ダメ!
いたいいたいいたいよぉぉ!!
痛みにどうしても耐えられなくなる限界ぎりぎり、やっと止まる貴方の手。
「反省したか?」
うん。
うん。
ごめんなさい。もうしない。
反省の言葉と、どうすれば良かったのか、切れ切れに話していった。
「わかったみたいだね」
そしたら、お仕置きはおしまい。
ほっとした。
大好き。大好きな貴方。
力が入らない私を抱きかかえて体勢を変えさせてくれ、いつしか抱っこに。
貴方の声は優しくなる。私のいいところもわるいところも穏やかに言いきかせてくれる。
貴方の手は優しくなる。
髪をなで、涙を拭き、肩を抱き、まだ痛いお尻をなぐさめてくれるの。
手をつないだら、やっぱり私のほうが小さかった。
乾いてるけど、温かくて、「好きだよ」ってぬくもりで教えてくれるの。
時々怖いけど、やっぱり
大好きな
貴方の手。
2006年05月17日(水)