注意:長いです。
                                                     甘いです。 
 
 
 
 




***** 

【イタズラ】



「あさみ〜、アンタに郵便届いたわよ〜」


おお、待望の声だ!


「あっ、ありがと!」

「あんまりくだらないもの買って、無駄遣いしないのよ?」

「わかってるって!」


もー。お母さんうるさいんだから!

でも、今はいちいち腹を立てたりはしないのだ。
通信販売で、欲しかったものが手に入ったのだから…



ジャーーーン!(←古い?)

これよ!


   『カワイイいたずら傑作集』


この本で…これでもしかしたらあることが叶うかもしれないのだ。


「きゃーきゃー(≧▽≦)」
私はドキドキして、ベッドの中を転げ回った。
そして本を開いた。




――3日後――

土曜日。

今日はデート。

彼氏の翔(かける)は2つ上の23歳。
全体的に線が細いカンジで、優しい性格。なんだかお兄さんみたい。
私は翔が大好き。

でも、今日はいつものデートとは違う。
いたずらをして…翔を怒らせようと思うの。


なぜかって?

それは…ナイショだけどね?
私にはある願望があるから。
願望ってゆーのは…実はお尻を叩かれることなの。

言っちゃダメだよ?

恥ずかしいよね…。
でもどうしようもないの。
昔から憧れてたんだぁ…

ちょっぴり痛いのかもしれないけどさ。
怒られるってゆーそのスリル。
膝に横たえられての不安定な格好。
なんかすごい惹かれるんだもん。
ドラマやアニメや漫画なんかでこのシーン見ると、もうのたうちまわりたくなるほど。
うらやましいって言うのかな?
そんな複雑な感情がこみあげてくる。


翔はもちろん、こんな気持ちは知らない。
黙って付き合ってたんだけど…やっぱり好きな人に叩かれてみたいってゆー気持ちが大きくなって…
でもこの願望を打ち明けるのは、あまりにも恥ずかしくて。
だから、いたずらをして怒られてみようという作戦を思いついたのだ。

でも、何をやったらいいかわからかなかったから、本を買ったの。


『カワイイいたずら』のネタ帳

例えば、寝てる間にまつ毛にマスカラ塗っちゃうとか
腕や顔にラクガキとか
廊下の曲がり角に隠れ待って脅かす。とか。
お弁当、キライなものだけにするとか。
古典的なのではぶーぶークッションとか。
ケータイの待ち受け画面勝手に変えちゃうとか。
カバンにぎっしりぬいぐるみ詰めるとか
コーヒーに塩入れるとか
タバコに一本一本 大凶と書くとか。



ん〜、どーしよーかな〜?

何しようかなぁ〜!


なんかワクワクしてきたから、彼が来たことにも気付かなかった。


「あさちゃん、なんか今日はニコニコしてるね。なにかイイことあった?」

「う、ううん!なんでもない!なんでもないよ!」

いつも通りにデートがスタート。
今日はウィンドウショッピングして、彼がカバン欲しいって言ってたから探して。
で、ごはん食べたり、ラブラブしちゃう予定なのだ。


いつ、いたずらしようかな?

って、翔はタバコは吸わないし
デート中に寝たりしないよね。
小道具は持ってないし…
けっこう難しいなぁ。


1回目のチャンスは、喫茶店行った時。

彼がトイレに行った隙に塩をたんまり、お水に入れたの!
(まだ頼んだものが来てなかったから)

帰ってきた彼をドキドキしながら眺めてたら…


お水一口飲んで…
ちょっと微妙な顔をした。

なにかした?って問いただされるかなぁと思ったけど。
それだけ。

あとは、世間話しながら、運ばれてきたカプチーノ飲んでた。
お水はもう飲まなかった…。

あぁ、失敗!
やっぱりカプチーノに入れればよかったよ。



次は…

急に猫だましをする!

目の前でぱあん!と手のひらを打ちつけてびっくりさせる。

これはうまくいった。
驚いてたもん。

でも、「なにそれー、びっくりしたなぁ〜。アハハ」と笑って受け流されちゃったの。
やっぱりこんなことでは怒らないのか。



それからも、色々試してみたけど…
膝かっくんも脇にパンチも
じーーーっと見つめては、見つめ返されるとパッと違う方向見るのを繰り返したりも…
あんまり通じなかった。。。

これはもう持ち物にイタズラするしかないね!

ってわけで、カバンを見る彼のポーチを「持っててあげるよ」ってあずかって。
シール貼ってみたり、ケータイの待ち受けをドラえもんにしてみた。


さて反応は…?

「わぁ〜、カワイイ〜!ドラえもん、懐かしいなぁ〜」

…喜ばせてしまった(汗)


もう!

翔、鈍いんじゃないの?



やっぱり怒られるのなんてやめようかなぁ…。

でも…でも…
どうしても、ぺんぺんって漫画のお仕置きみたいにされてみたいんだなぁ…。






お気に入りのブランドのお店で、カバンを選んでる彼からそっと離れて、店の反対側の階段に腰掛けた。
ここだったら探すの苦労するよね。
ふふ。
急にいなくなったらびっくりするかな?
これでダメだったらどうしようか。


いたずらのネタを復習しようとして、本を開いた。


えっと…

あとは…







…………



「あさちゃん!」

ドキン!Σ(●Д●)

わぁ、びっくりした!

使えそうなシチュエーションを探してたら、いつの間にか読みふけっちゃったみたい。

「ほぉ…そういうことか…」

「な…なに??」

「急にいなくなっちゃうから探したよ」

「え、じゃぁびっくりした?」

「うん。勝手にいなくなれば、誰でもびっくりすると思うけどね」


や…やったぁ!
驚かせることに成功だ!
怒ってるかな?

様子を窺うと…

ニヤリ。

翔が笑った!
ダメだったんだ…この方法も失敗かぁ…
なんだかガッカリ…



「あさちゃん、なんで俺にイタズラばっかりするの?」

え…

「もしかして怒られたいの?」

心臓がどくんって言った。
急に気持ちが悪くなってくるような感じ。
今までの行動の理由を、あっさりと当てられたことにパニくった。


こくん。

あっ、思わず頷いちゃった!

「なんで?」

う…それは…そんなの正直に言えるはずないじゃん…

「どうして?」

すっと翔が屈みこんで、至近距離で聞いてくる。
いつの間にか、笑顔が真顔に…。

カァァァァァって、自分の顔が火照ってくるのがわかった。

そんなに見つめないでよ…!



「言えないの?言ってごらんよ」

至近距離を通りこして、耳元で囁いてくる。
あったかい息が耳に拭きかけられて、なんかこそばい!
肩に手がかかって、唇が…耳に…!
耳は弱いの!弱いの知ってるくせにぃ…!


「言えないんだったら…どうしちゃおっかなぁ…」


カリ。
耳たぶを優しく噛まれた時点で、私はギブアップした。

もう、ダメ…。
力が抜けちゃう…!



「言う!言うよ!だから耳はもうやめてぇ…!」

にやっとまた笑って、翔は離れてくれた。

「どうして怒らせたかったの?俺のこと嫌いになったの?」


「ううん!違う!嫌いになったんじゃなくて…その…あの…」


なかなか言えない私を辛抱強く待っててくれてる。
仕方ない…。
仕方ないから、全部白状した。


ずっと小さい時から惹かれてたお尻ぺんぺんのことを…。
なんで惹かれちゃうのかは分かんないんだけど…。
だから翔を怒らせて、ぺんされようと思ったこと…。


それを言うのはすっごいすっごい難しくて。恥ずかしくてたまらなかった。

泣きたくなった。

こんなのバレちゃったら、変態だと思われちゃうよぉぉぉぉ(><)



でも、彼は「そっか」って言って、落ち着くまでしばらく抱きしめてくれたの。
その感触は、あったかくて安心感を与えてくれた。

落ち着いた後、離れたら、翔が「ホテル行こう」って。

なんで?って聞いたら
「お仕置きしに行くんだよ」って言った。

「えぇ!?」

「あさちゃんが悪い娘だったから、お仕置き。
 自分で望んだんだもんね?
 容赦はいらないよね?」



頭が真っ白になった。
えと、それは…

つまり…


「そう、お尻ぺんぺんだよ。
 今ココでする?いやだよね。デパートだもんね。
 だからホテル行くの。
 つべこべ言わないで、早くする!」


手をひかれて、さっさと繁華街からホテル街へ。
黙って私は、翔の歩調に合わせてた。
あまりの展開の早さに、ぼーーーーっとしてる。
もちろん、ホテルには行ったことあるけど、こんな目的で行くのは初めてだ。


密室に2人。


「さて、ここなら安心だね!
カラオケがあるから、防音効果もバッチリ♪」

周りを見渡して、ニコニコしてる翔。

なんか、怒ってるのか喜んでるのかわかんない。
それを言ったら、

「もちろん怒ってるよ?今日はいっぱいイタズラしてたもんね?
 いっぱいイタズラしたんだから、いっぱい叩かれなくちゃね?」

いやいやいやいや!
あっさりしすぎでしょ!
望んでたことなのに、急に勇気が出なくなった。
もういいや!やめようよ…
恥ずかしいし…


首を振ってあとずさった私を見て、翔は「おいで」と真顔になって言った。
低い声。
目が怖い。

「だめ。おいで。」

もう一度、キッパリ言われるともう抵抗は出来なかった。


おずおずと近づいて行くと、ベッドに腰掛けた彼の膝に腹ばいに。
いよいよなんだ!って息苦しいくらい、緊張したあとにその衝撃はきた。



バシィィィィィン!!!!

ワンピの上からだったのに、すごい衝撃!
叩かれた後にじわじわとくる痛み。

想像してたよりもずっと痛かった!!!



もちろん1発だけで終わるはずもなく、
続けてもう1発、2発。3発!!

すぐさま、ワンピが剥かれて下着も下ろされて
裸のお尻にされ

1発、2発、3発、4発!!!!

お尻全体が揺れて、奥底に響くような打撃。


あっとゆー間に、私は余裕をなくし、叫ぶ。

「イタァイイタァイイターーーーーイ!!!」

思い浮かべていたような甘美な痛みではなく
思わず、足と手がバタバタしちゃうくらい痛いの。
腰は手が置かれてるからか動かなくて、逃げられない!


ピシャァン!
ピシャァン!!

乾いた鋭い音が響いて、その瞬間は飛び上りたいほど熱い。
ズキズキしてるのかひりひりしてるのかわからない余韻の痛み。
そしてそれが消えない間にまた、叩かれる。


こんな…こんなの…ムリ…!


「いたいー!もういい〜!もう痛いからいい〜〜〜!!!」

「もういい?
 それでやめたらお仕置きにならないでしょ。」

ウソでしょ!?

もう耐えられないくらいなのに
いつも優しい彼が、やめてくれなかった!


愕然としてパニックになる。

「いや〜!翔!かけるぅ!もーやぁだぁ〜!」

涙が滲んできて、暴れる。

でも、それでもやめてくれない。

しかも無言で。

私…
そ、そんなひどいイタズラしてないはずなのにぃ〜(>Д<)゜。




しばらくはガマンしてたけど

う、うわぁぁぁぁぁん うぇえええええん

みっともないけど、なんか涙が出てきて口が勝手に泣き叫んでいた。
痛いし、許してくれないし、もうイヤだったんだもぉん(>□<)



「あさちゃん、おイタしたら何て言うの?」

「なっっ、何て言うの?」

泣いてたから、思考停止。
出された助け舟にも答えられずに、教えてもらった。

「そういう時はね、ゴメンナサイって言えばいいんだよ」

「ごめんなさい!」


「はい、終わり!」

ばっちぃぃぃぃん!!!

最後思いっきり強烈なのがきたけど、それでアッサリと終わった。
今までどんなにやめてって言っても聞かなかったのに…。



ぐしぐしと涙をぬぐってたら、よしよしって翔の手が頭をなでてくれた。

それから抱っこ。
(パンツはそのまま膝にからまって、お尻まる出しだったけど…)

ぎゅぅって私を抱きしめて、翔が言った。


「ウソ、怒ってないよ」

「ぇ、えぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!!????」

「あさちゃんが望んでたから、思いっきりやってみたんだよ。どうだった?」

「めちゃくちゃ痛かったよぉぉぉぉぉ!!」

そんなぁ!

いくら望んでても、ここまでとは思わなかったもん!
ここまでするなんて、ヒドイもん!
若干むくれると、

「正直に言ってね?どうだった?
 もうイヤなら、もうやらないから。」って。

でも、それを聞いたら、急に今までの時間が大事に思えてきた。
ジンジン痛むお尻の痛みすら愛おしくなって。
もうやらないって、それは…
それはサミシイ(><)

「イヤ!またやっていいの!
だから、もうやらないって言わないで!」
って言っちゃった…。


翔はまたニコってして、よしよしと頭をなでた。


「わかった。またやろうな。
でも、そういう時はわざとイタズラしなくてもいいんだよ。
今までのイタズラもはっきり言って、怒るレベルじゃないし…(笑)
だからって、レベルアップしたイタズラしかけないでほしいんだ。
俺はあまり怒りたくないんだよ。

でも、あさちゃんをカワイイなぁって思うところは
わざと遅刻したりわざと悪いことをしなかったところだよ。

あさちゃんがお尻ぺんぺんされたがってたら、ちゃんと心こめてやるからね。

それにわざと悪いことしなくても…
いくらでもネタはあるんだよ?」

「え?」

「寝坊して大学遅刻したとか、勉強サボって赤点スレスレとか
 ケータイ忘れんぼするとか
 いくらでも粗相の罪があるでしょ」


「え。(゜▽゜;)」


ぎくん。

「もう、あさちゃんの願望わかっちゃったからね!
 今更嫌がっても、だぁめ。
 今度っからは、いけないことしたら、お尻ぺんぺんの刑だからね(^▽^)」




そして、私と翔はスパンキングの趣味を共有する恋人同士になった。
スパンキングって言葉は後からネットで知ったの。
彼はノーマルさんだと思ってたけど、別に叩くのも好きみたい。
カーなのかな。
結構嬉しそうだし。


あの痛みはハンパなかったから…思い出すだけで身が縮まるよう。
怖いから、なるべく叩かれたくないけど…




「あぁっ、切符なくした!」

「だから、きちんとカバンのチャック閉めておけって言ったのに…
 あさちゃん…後で…わかってるよね…?」


実はドジな自分だから、デートの度に毎回お尻が痛くなりそうです…。


それは、嬉しいのか…悲しいのか…
ちょっとフクザツだけど
やっぱり嬉しい方が大きいかもしれない。


「翔…大好きだよ!」

「ん?どうした?突然。
俺もだよ」 







                  〜Fin〜
                  
    
 
 
                                         
 
2010年6月11日
 
はやと
 
 
 
 
うーわー

久しぶりにこっぱずかしい設定で書いた〜!
甘い恋人系。
終わり方が唐突だけど…まぁ、これ以上書けないのでゴメンナサイ(笑)



>こんなのバレちゃったら、変態だと思われちゃうよぉぉぉぉ(><)

って言ってますが、立派に変態です(笑)



イタズラのネタがしょーもないのばかりですが、思いつかないし、性質悪いのは書けなかったので…
ググったほどだけど、あんまり良いネタは発掘できませんでしたw

これで、怒るヤツはあんまりいないな。
うん。
なのに怒らせようとたくらんでるのが、おバカさんですね(−▽−)
(でもそれ言うと話が進まないからのぉ)


わざと悪いことしないでって言ってるけど、これは翔の性格ですから!
イタズラを否定してるわけではありません、あしからずwww


そして命名は適当です。




蛇足説明でした。

ここまで読んでくださってありがとうございます♪ 



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