【赤ずきんとお母さん】

 

(注:いきなり始めます。
   赤ずきんちゃんの話のその後だと思いねえ)


****



「赤ずきん!」

お母さまは、怖い声で赤ずきんを呼びました。
彼女はびくっとして身体を縮こませました。
なぜって、自分が悪いことを知っていたからです。


「あれほど、道草はいけないと言ったでしょう。
 お母さまの言うことが聞けなかったのですか?」

「ごめんなさい…つい…」

「つい、で済む問題ではありません。
 お話は、お仕置きの後で聞きます!
 ブラシをもっていらっしゃい!!」


ブラシを持ってこいと言われた彼女は、これから自分の身に何が起こるのかはっきり悟りました。
お尻を、ブラシの背でぶたれるのです。
お仕置き用のブラシは重く、硬く、
やわらかい赤ずきんのお尻なんかわけもなく、焼きたてのパンのようにこんがりと熱くしてしまうでしょう。
彼女は絶望に頭を振って、お母さまの赦しを乞います。


「ごめんなさい!もう決して言いつけに背いたりしません。
 どうか、お仕置きだけは許して…!」

しかし哀願もむなしく、


「また、言いつけに背きますか。アンジェリカ。
 うんと痛くしないと、お前にはわからないようですね。
 10秒以内に持ってきなさい。じゃないと、お父様に罰してもらいますよ」


赤ずきんは慌ててとんでいき、ブラシを6秒のうちに手渡しました。
いつも愛称で呼ばれているのに本名で呼ばれたことで、本気を悟ったからです。
力の強いお父さまにお尻をぶたれるなんて、まっぴらごめんよ!
それならお母さまの方がまだマシだわ。


鈍い光沢を放つ憎たらしいブラシを渡すと、お母さまは椅子に腰掛けました。


「いらっしゃい。」

本当は嫌で嫌でたまりませんでしたが、逆らえません。
彼女は、紺色のスカートで覆われた膝に腹ばいになり、エプロンをぎゅっとつかみました。
口元は泣きそうに歪んでいます。


「まったく、猟師さんが助けてくださったから良いものの…」

ぶつぶつ言いながら、お母さまは赤ずきんのスカートをめくりあげ、ズロースをおろしました。
すーすーとする風を感じ、赤ずきんは目をつぶります。

いつまでたっても、この感覚は慣れません。
心臓が早鐘のように、ドキドキドキドキ言っています。
痛いのはイヤ…
イヤ…!!

と、まもなく、バシッという音とともにお尻の真ん中にブラシの背が思いきり叩きつけられました。

「きゃー!!」

赤ずきんは叫びます。

バシン!

バシンバシン!

バシンバシンバシンバシン!!!

続けざまに左右、真ん中、下の方…といろんな所をぶたれ、
あっという間にお尻全体がひりひりと燃えるような感覚に襲われました。


「悪い子! 悪い子!!」


「あぁぁぁ〜んぁぁあ〜ん!!」


赤ずきんにはとても、耐えられません。
すぐに悲鳴は泣き声に変わりました。
お母さまの鋭い叱責と共に降ってくる痛みに、のけぞり、もがき、泣き叫びます。

そんな娘の様子にお母さまも少し可哀そうに思いながらも、いいえ…と頭をふりました。
もう少しで狼に食べられ、二度と会えないところだったのです。
これで懲りたら、きっと赤ずきんも気をつけるようになるでしょう。
今は、心を鬼にする時でした。
 


そんなわけで、赤ずきんはたっぷりと時間をかけて思い知らされました。
お母さまの言うことは聞くべきだったということを。


やっとお仕置きが赦されて膝から降りたときには、お尻はぱんぱんに腫れあがり、触れる空気にすら反応して痛みました。
後ろからみると、まるで熟れたリンゴのように染まっていたものです。
ですが、これで終わりではありません。

お母さまが改めて諭し、赤ずきんが「ごめんなさい」を心から言って、この件はやっと一見落着したのでした。




ちゃんちゃん**** 
           

 

 

2009年6月30日

はやと

 

王道的な言い回しに気をつけました(笑)

ホントは、「お母さまの言うことをお聞きなさい系」は好きじゃないんだけど、童話だからいいや☆こんなこともあるよね!

たまにはいいよね!


 

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