【罪人】

 

 

単調な毎日…

規則に縛られた日々…


収容所に囚われたときから時から、もう幾日が経ったであろうか?

 

 

「罪を犯したのだ」と言われた。
しかし、麻薬で侵された頭ではよくわからなかった。
だまって連行された先が、ココだったのだが。

三食の食事。
休み時間。
運動時間。
労働時間。


そして――鞭打ちの時間。

「罰」という名のそれは、女官吏の手で行われている。
これから逃げようという囚人が多かったが、いずれも捕まって処刑される。
私は逃げなかった。
逃げられなかった。


「イイコね…」

裸にひん剥かれ、髪をわしづかみにされた。
耳元で声がする。
担当官吏は綺麗だった。
同時にひどく冷酷だった。
その瞳に射抜かれた時から…もう逃げられないことを悟ったのだ。

ひたひたと忍び寄ってくるような恐怖感。
冷たいものを無理に押し込まれたような、気持ち悪さで嘔吐しそうになる。
が、それを上回る高揚感。

牢のひんやりとした空気が乳首と尻を撫で上げる。
完璧なる正装の彼女と、全裸の自分。
みすぼらしい自分がとても恥ずかしい。
しかし、彼女はそんなことは歯牙にもかけていない。
否。
そもそも彼女は私なんか眼中にないのだ。
罪に汚れて、地べたをはいつくばるしかない存在を。
彼女は決して見ないだろう。

手を伸ばして触れられるのに、絶対的な立場の差が透明な壁を作っている。

 

それでも、罰される時間だけは彼女は私に近づく。

 

 


「なんて言うの?」

「ぁ!」

ぱぁん!
平手がお尻に炸裂する。

じんじんとゆっくりと広がっていく痛みに、身体の内部から震える。
ナイショだけれど。

「お…お願いします…」

麻痺した口で、舌足らずな物言い。
それが精いっぱいだった。

「それじゃぁ足りないわね」

パァン!
パァン!
パァン!

連続して左右の尻が叩かれる。


「わ…私は…イケナイことをしました…
  お…お仕置きを…お願いします…」

毎度言わされるこの言葉。
イケナイことをした…私が罪を犯したから
お仕置き…鞭を受けるのだと。

毎回確認するしかない。

言う度に心がズキと疼き、自分がどうしようもない奴なのだと思い知らされる。


鞭がさんざん痛めつけても、慈悲を請う資格すらないような。

 

「…たっぷりと…お仕置きしたげる」

そして彼女は満足そうに笑うのだ。
熱いものを秘めた真っ赤な唇を、吊り上げて。

 

 

 

それからは、無我夢中だった。

細い黒鞭が肌を舐める度に、切り裂かれるような激痛が襲ってくるのだから。

「ぁああーーーーーーーー!!!!」

叫ぶしかない。
叫ぶしか許されていない。

身をよじってはダメと知りながら、耐えられずに動いて更に叱られる。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

規定の数が消化されるまで、消して終わることはない。
暴れたら追加される。
助けて!手を伸ばすけど、石壁は答えてはくれない。


バシーーーー!!!
ビシーーーー!!!
牢いっぱいに音が反響する。

永遠にも似た時間を、お尻が火を噴き出すような感覚に襲われながら耐えるしかなかった。


暗い愉悦さえも、叩き殺す勢い。
辛い!!!
しかし、頭のどこかで言うのだ。


ヤメナイデ。

痛みが自分を生かしているような気になるから。
相手の力を感じることが、嬉しいから。

決して周りと相容れない感情だけが喜んでいる。
それは絶対の秘密だけれど。

 

 

長時間の鞭打ちで、心身共にズタボロになった私に優しく彼女は言った。

「また3日後」

じんじんと沁み、痛んでくる尻を抱えて私は3日後が来るのを恐怖しそして切望するだろう――。
繰り返される毎日の、たった一つの刺激。
それによって生かされているのだから――。

 

 

 

 

 

 

2009年3月15日

はやと

時々こんなの書きたくなるwww  画像をクリックすると違うバージョンの同じ絵が出てきます(笑)  

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