【ピュアカラー】

 

大粒の泪は、ダイヤより時として美しいと思う…。


僕は、自分の膝にかじりついて泣く彼女を愛おしく想い、しずかに髪を撫でた。

たった今、お仕置きを終わらせた。


いけないコには報いを。

僕は大分腹を立てていたからね。

心配をかけるのはいいことか?
言いつけを守らないのはいいことか?
それをお説教する僕の腕に噛み付くのはいいこと?

君は、答えられないね。

公平に見たら、イケナイのは全部君。

質問には「いいえ」しか答えられないよ。

それか無言になるしかない。

そこで、謝れるコじゃないことはよく分かってる。

だから、よぉく反省できるように、素直な気持ちになれるまで、時間をかけて教えてあげる。

嫌がるそぶりも、なんとなく弱い。

自覚してるからだろう?

いつからだろう?
君のお尻を叩くようになったのは?

君が、僕を試しだしたから?

君は、時としてひどく僕を困らせる。

わざとやっているみたいに。

困らせて、からかって、僕の気持ちを確かめているんだ。

「ホントウニワタシノコト、スキ?」
声にならない声が聞こえ始めてから、僕は決心したんだ。

「スキダヨ。ドンナコトヲシテモ、ボクハキミカラハナレナイ。ダカラ、ワルイコニナッチャイケナイ」

それを、心身ともに分からせてあげる。

彼女のお尻を、子どもにするように叩く。

悪態や抵抗しかしなかった、彼女がだんだん叫びだす。
  
     ―――イタイ!!

痛くしてるからネ。

どこを打つのか、慎重に狙いを定める。

酷くしすぎないように。でも、よりダメージを与えられるように。

お尻の上には、骨があってキケンだからね、そこは打たない。

狙うのは、もっと下。

横、真ん中、下、腿とお尻の付け根。

緩急をつけて、じっくりと平手で打っていく。

白かった彼女のお尻に、平手の痕がつき、だんだん桃色に、赤色に染まっていく。

細かく走った朱線が、とてもキレイだ。

そこまで染まったからには、もう後は反省するしかないね。

叩く間の、君の暴れっぷりときたら…可愛いね。必死なんだ。

身をよじって、叫んで、哀願し始めて…。

それならそんなこと、始めからするんじゃないよ。

バカ。

いつでも、鬼になれると思うな。

鬼じゃなくて、君の「彼氏」でいたいんだから。

遊園地へ行く約束だろう?ジェットコースターや観覧車に乗って。アイスクリーム食べたいんだろ?
ゲーセン行って、好きなぬいぐるみをUFOキャッチャーでとってあげる。
手を繋いで、時折ほっぺをくすぐってあげる。
君をゴキゲンに喜ばせて、笑った顔が見たいんだ。

ダイヤより、大粒の泪より、君の笑顔が好きなんだ。

髪をなでてあげる。
抱きしめてあげる。
キスして、立たせてあげる。

だから、もう泣くな。
もう、僕を困らせるんじゃないよ。

今度またやったら。
その時は、今日よりもっとヒドイめにあうからね?
覚えておくんだよ?
 

はやと

2007年02月10日

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